2024 アメリカ
監督 ステフォン・ブリストル
脚本 ダグ・サイモン

ミラ・ジョヴォヴィッチも意外に息が長いなあ、って
あらゆる植物が枯れ果て、地球上に残存する酸素が27%→5%になった世界で生き抜く親子を描いたSFサバイバルアクション。
外を出歩くには酸素マスク必須、というのがこの物語の大前提で。
基本、生き残った人間は酸素発生装置を備えた室内に閉じこもるしかない。
父親が聡明だったおかげで生き残った家族の元に「酸素発生装置が壊れかけてるから、お宅の酸素発生装置の仕組みを見せてほしい。それを参考に自分たちの装置を修理したい」と訴える三人組がやってくるところからストーリーは転がりだします。
ま、人類のほとんどが死に絶えた世界で、見ず知らずの人間からいきなりそんなことを言われても全く信用できんわけで。
どこまでが本当でどこまでが嘘なのか、強行突破も辞さぬ様子の三人組と、主人公親子のきわどい駆け引きが見どころ、といったところ。
で、まず最初に私が思ったのは、このエピソードだけで全編引っ張っていくつもり?でして。
いや、物語の中核に据えるにはね、ネタが小粒すぎやしませんか?と。
だってね、こんな『実録、未来の寸借詐欺!』みたいなシナリオ展開でどうやってディストピアな未来世界を彩っていくんだよ、と。
こんなの酸素がない世界でしか描けないストーリーじゃないじゃねえかよ、って。
大胆に低酸素世界をお膳立てした割には、やってることがすごくみみっちい小競り合いなんですよね。
普通ならこういうSFって、こうなってしまった世界の謎、再生のカギに迫るもんじゃないのか?と私は思うわけです。
迫っていく過程で、登場人物の揺れ動く心理なんかを微細に描写し、滅びのふちに瀕する人類の落日に思いを馳せたりするのがディストピアものの醍醐味でしょうが、と。
それが「酸素よこせ」「やなこった」で延々揉めてあっという間に1時間経過だからなあ。
いや、つまんないわけではないんです。
主人公親子の元から消えた父親の謎をからめた作劇は、しっかり練られていて見応えあったと思いますし、予想外の展開でハラハラさせられた場面も間違いなくあった。
ただね、前述しましたけどね、そのどれもが現代劇に置換可能なんですよね。
もうほんとマジでSFじゃなくてもいいじゃねえかよ、って。
酸素のない世界の怖さ、残酷さ、別世界感がどうにも希薄なんです。
あと、致命的だと私が思ったのはエンディング。
声が漏れるレベルで驚いたんですけど「主人公少女にそういうことができるなら、一切争う必要なかったじゃないか!」と唖然、呆然。
制作側に、これってハッピーエンドじゃなくてミスト(2007)クラスの後味の悪さを暗にほのめかす、凄まじくビターなラストだよ?わかってやってる?ってマジで問うてみたい。
言葉が悪くなっちゃうんですが、なんだこれ、バカみたいなラスト・・、って思いましたしね、正直な話。
うーん、詰めが甘い、及び、物語の器を間違えた、と言ったところでしょうか。
悪いわけじゃないんですけどね、なんかちぐはぐなんですよね。
この監督はあんまりスケールの大きなSFとか向いてないかも、と少し思ったりしました。
ねじレート 62/100

