2023 イギリス
監督 ロバート・モーガン
脚本 ロバート・モーガン、ロビン・キング

雰囲気だけは怖そうなんだけど、いつまでたっても一向に怖くならない困った心理もの
ストップモーションアニメを制作しながら、どんどん精神状態が不安定になっていく女を描いた心理ホラー。
ま、正直言ってこの手の『現実と虚構の見境がつかなくなるお話』って、よくあるパターンで、さかのぼるならポランスキーの反撥(1964)ぐらいまでたどり着けてしまうんじゃないか、と思うんですが、ひょっとしたら私が知らないだけで源流はもっと古いのかもしれません。
要はそれぐらい、あちこちでちょくちょく見かけてきたってこと。
早い話が目新しさがないんですね。
物語がストップモーションアニメーターに着目したのは独特だった、と思いますが、その独特さを支える土台に説得力がないのがまずは致命的で。
主人公の女は、どうやら著名なアニメーターである母にコンプレックスを抱いているようなんですが、そのコンプレックスがなにゆえここまで彼女を追いつめたのか?という部分に関して一切言及されないのがなんともねえ。
いやいやそこは視聴者の想像に任せちゃダメだろ、みたいな。
突然現れた謎の少女にしたってそう。
少女が見えているのはどうやら主人公のみ、みたいな感じ(これも作劇が曖昧なんで断言はできない)なんですが、少女の役回りが何を意味してるのか、全然分かんなくて。
普通はこういうのって、何かの暗喩だったりメタファーだったりするんですが、匂わせる演出が一切ないんで考察するにも根拠が見当たらない状態というか。
結果、女が一人で勝手におかしくなって、勝手に暴走して破滅していくだけの映画に。
おそらく、狂気漂う幻想奇譚みたいな感じにしたかったんだろうと思うんですが、ストーリーを支えるエピソードが少なすぎて安いジャンル映画みたいな感じになっちゃってるんですよね。
ジャンプスケアがありがちなのもそれに拍車をかけてる有様で。
劇中のストップモーションアニメのキャラが陳腐なのも気になりましたね。
これがねえ、ただ不気味なだけで、怖くも可笑しくもなくてね。
しかもキャラを死肉で製作するとか、ほんと発想がアジアのB級ホラーかよ、って言いたくなる虚仮威しぶりで。
色々テコ入れが必要、と思いましたね、いやもう手遅れなんだけどさ。
ちなみに唯一、私が評価できたのはエンドロール間近のワンシーン。
ああ、こういう形で前出のセリフを回収するのか、と。
物語の締めくくりだけはそれなりにセンス良し、だったかもしれません。
総ずるなら経験値不足、その一言ですかね。
ここであきらめずに映画製作を続けていけばいつか花咲くときも来るかもしれませんけどね。
いや、知らんけど。
ねじレート 51/100

