2022 アメリカ
監督 ジェームズ・キャメロン
脚本 ジェームズ・キャメロン、リック・ジャッファ、アマンダ・シルバー

誰も見たことのない世界がどんどんフィールド広げていく快感
いや、あの終わり方で続編作るってのは、なかなかの難題なのでは・・・と思ってたんです、つい先ごろまで。
だってねえ、あそこから続く、ってなると、もう人間の話じゃなくなってくるから。
惑星パンドラの原住民であるナヴィの物語にしか仕様がない。
なんせナヴィ、あの御面相ですから。
前作は約3時間の上映を経て、ナヴィに親しみを覚えるというマジックを体感したわけですが、それもはや10年以上前の話、いま改めて主人公ジェイク・サリーや嫁ネィティリを見て、何の違和感もありませんか?と問われると、やっぱりなんかちょっと気味が悪かったりもするものだから。
だって青いし、爬虫類顔だもんなあ。
なのでやるなら別の地球人を主人公に立てて、ジェイクはサブに回るべき、と私は思ってたんですが、「そんな浅知恵にのれませんわ」とばかりにキャメロンは青色異星人を今作でもそのまま主人公で物語展開、まるで昨日のことのようにしれっと森の部族を描写、ときたもんだ。
マジでキャメロンすげえな、と思う。
莫大な資金が投入されてるわけですよ、この続編には。
歴代興行収入一位のプレッシャーも半端じゃなかっただろうと思うし。
これほど失敗が許されぬ続編も、そうそうないと思う。
なのに顔色悪い宇宙人が主役。
あまりに冒険がすぎやしませんか?と。
さすがにこれは最後までもたねえだろ、と勝手に邪推したり。
そしたら、だ。
地球人の話じゃないのにめっぽう面白いってんだから、ほんと恐れ入る。
私の場合、復習もかねて前作から立て続けに見たせいもあるのかもしれませんが、始まって10分程度で早くもジェイク一家の道行きにすっかり夢中でしたからね。
もう、色んなエピソードが次から次へと蘇ってくるわけですよ、お話を追ってて。
異形であり、異邦人であることから、なかなか民族に受け入れてもらえなかったジェイクが、また追われることになってしまうのかよ、といつのまにやらどっぷり感情移入。
思いましたね、優れたキャラクターであれば、猿が主人公でも問題ないのかも、って。
ああっ!それ、孫悟空じゃねえか!
キャメロンはそれがわかっていた、ということかあああああ!(知らんけど)。
ま、正直ね、あのキャラを復活させて対立構造を再び煽ることに、うーん、キワキワの選択だな、って思ったり、結局また人類とのもめごとに持ち込むやり口に結構な強引さを感じたりもしたんですが、とにかく作劇がうまいんでね、なんかごまかされちゃうんですよね。
ま、いっか、って。
スパイダーという新キャラを物語に放り込んだのもめちゃくちゃ巧みだと思う。
エンディングですでに見事な伏線になっているばかりか、今後のキーマンになりそうな気配濃厚ですしね。
これはひょっとして争い以外の地平が、物語の帰結として待ち受けてるのかもしれない・・・と思ったり。
映像も変わらず圧巻で。
今回の舞台はほぼ海なんですけどね、もう美しいやら、幻想的やらで(これ、アバターのページでも書いたな)。
海中をナヴィたちが泳ぎ回るのを見てるだけでもう楽しいですから。
やべえ、これ何時間でも見てられるわ、って。
トゥルクン(惑星パンドラの海に生息する魚みたいなやつ)とか、マジでいるわ、これ、と思ったもんね、あまりにリアルすぎて。
戦闘シーンも変わらず凄まじいクオリティで。
人間のカメラマンには無理でしょ、こんなの、ってなカメラワークで上下左右に360度縦横無尽ですから。
ちょっと冗長かな、と思った部分はあった(トゥクが短い時間で2度つかまっちゃう展開とか)あったんですが、冗長なのに全編全力投球で大活劇ですからね、冗長の意味をこっちが考え直さなきゃいけなくなる有様だったり。
特に終盤なんかタイタニック(1997)かよ、って言いたくなるような大サービスぶり。
いやこれはポセイドン・アドベンチャー(1972)へのオマージュというべきなのかな。
若干気になったのは宮崎イズムに染まるのはかまわないが、キャメロン、捕鯨反対なの?って見てて思えたこと。
どう考えても捕鯨のこと言ってるよね、これ?って。
そこは日本人として膝つき合わせてじっくり議論したいところだけど、ま、仕方ない、とらえ方は人それぞれ。
ともあれ、ここまでのテンションとクオリティで3時間突っ走られた日にゃ、文句のつけようがないですね。
どう記憶をまさぐってみても他に類を見ないですし、ここまでのスケールで別世界を描いた作品って。
前作ほど隙なしではないと思いますが、それでも凡百をはるか置いてけぼりにしてるのはまちがいない。
こりゃほんとに5作目まで行きそうかも。
キャメロン71歳、マジで恐るべし。
ねじレート 94/100

