ういちの島

2023年初出 都留泰作
新潮社バンチコミックス 1~2巻(以降続巻)

「ういち」と呼ばれる人ではない何かに変貌してしまった人間との間に起った、命がけの攻防劇を描くSFサバイバル。

面白い設定だな、と思ったのは「ういち」は眠ってる間、無自覚に正常な人間を襲い、食ってしまう存在だとしたこと。

理性でどうこうできるわけじゃないんですね。

「ういち」にとっては捕食行動なわけです。

なので突然「ういち」に変貌を遂げてしまった人間からしてみればたまったもんじゃなくて。

目覚めてみれば血まみれの人殺しに成り下がっちゃってるんですから。

「ういち」に変わってしまう条件や法則が物語序盤では特定されてなくて。

まさに降って湧いた災難とでもいうべき唐突さで、昨日までの隣人が明日の天敵になってしまう。

起きてる間は全く見分けがつかない、と定義したのもうまい。

人間同士、疑心暗鬼に陥っちゃうんですね。

ま、この手の人間VS亜人間の対決劇、ってこれまでなかったわけじゃないですし、斬新ってほどでもないんですが、得体の知れなさ、及び、どこに転ぶのか予測が成り立たない感じが実に作者らしくてね、ページをめくる手が止まらなかったのは確かです。

ただね、年齢的なものなのか、省エネ化なのかよくわからないんですが、以前に比べて画力が落ちてるような気がするのがいささか残念で。

時々、晩年の柳沢きみおレベルで作画が雑だったりする。

1巻の表紙絵にもなってる「ういち」が発現した状態の人体デザインも、どうなんだかなあ・・・と思わなくもなくて。

棘皮動物とイソメが混ざったような造形は、気持ち悪さこそあれど、不気味でも未知な感じでもなく。

なんだか遊星からの物体X没デザインみたいに見えるのは良くないだろうと。

お話のふくらまし方も、進め方も悪くはないんですけどね、この手のSFを描く上でちょっと画力が足を引っ張ってるかな、って。

でもまあ、まだ序盤だし、これからどんどん挽回していく可能性も・・・と思ってたら、突然3巻から紙媒体での発行中止、で呆然。

あー、売れなかったんだね・・・。

最近こういうケース多いですけどね、途中で電子書籍オンリーになるの、ほんとやめてくれんか。

読む気が失せるんだよ。

途中で単行本化中止するぐらいなら最初から電子書籍で発売してくれ!とつくづく思う次第。

ちなみに物語自体は5巻で終わりみたいです。

5巻で収束するような話じゃないと思うんだが・・・。

さて、続きを読む日がまたくるのか、いまのところ私の腰はどうしようもなく重いです。

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