僕が死ぬだけの百物語

2020年初出 的野アンジ
小学館少年サンデーコミックスペシャル 1~3巻(以降続巻)

一話完結、百物語形式で進んでいくホラー漫画。

普通、百物語というとそれぞれのお話で語り部が違うものですが、本作の場合、主人公である小学生?ユウマの一人語りという形で物語は進んでいきます。

なぜユウマが幼いにも関わらず多種多様な怪談を知ってるのか?という点からして謎なんですが、それ以前に、ユウマ自身の毎日になにか大きな問題がありそうな匂わせがあって、百物語を最後まで語り続けることが彼の日常になんらかのピリオドを打ちそうな様子なんですよね。

引きがうまいなあ、と。

完結まで目が離せない感じではあります。

ただ問題は、肝心の百物語自体がそれほど怖くも目新しくもないことで。

どことなく中山昌亮(不安の種)の影響なんかも感じられたり。

そうかと思えば楳図かずお御大そっくりの作画が飛び出してきたり。

頑張って3巻まで読んだんですけどね、これはちょっとすごいわ・・・と思える話が1話もなかったのが気持ちを萎えさせましたね。

私はホラー擦れしすぎてるんで、どうしても辛口になってしまうんですけど、総じてお手本になってる元ネタが透けて見えがちなんですよね。

作者本人はきっとそうは思ってないでしょうし、多くの読者もそれほどでは・・と言うかもしれませんが、解釈の違いはあれど、各話を自分の流儀に染めきっていないことは確かだと思うんです。

「こういうホラーは誰々が得意だよな」「これは誰々の怪談でよくあるパターン」等々、分類できちゃうんですよね。

ま、ホラーも出尽くした感があるんで、何にも似てないとか今どき不可能なのかもしれませんけど、ひとつでいいからダイヤの原石みたいなのがあれば・・・というのが正直なところ。

4巻以降で化ける可能性もないわけじゃないと思うんですけど、うーん、これ以上はちょっと無理。

いつか本作の連載が終了した暁には一話完結の短編ではなく、長編のホラーに挑戦してみてほしいですね。

本当に真価が問われるのは次作、という気がします。

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