スローモーションをもう一度

2016年初出 加納梨衣
小学館ビッグコミックスピリッツ 1~3巻(全7巻)

80年代が大好きなことを隠してるクラスのカースト上位な男子と、同じく昭和カルチャー大好きな引っ込み思案の女子の恋の駆け引きを描いた青春ラブストーリー。

加納梨衣がいつの間にスピリッツで連載を!と色めき立って購入した本作ですが、いやー、梯子外されましたね、見事に。

初めて作者の作品に触れる人にとっては、何の梯子?ってな話なんでしょうけど、私が好きだったのは前作スターライトウーマン(2013~)であり、加納梨衣のSFコメディなもんだからさ。

まさかこうも真正面から「高校生同士の甘酸っぱい恋物語」で読者のご機嫌をうかがってくるとは思わなかった。

ていうか、これもう少女漫画じゃねえかよ、って。

一応、青年誌を意識してか、主人公は男子高校生になってますけど、この作品、そのまま女性誌に転載しても何の違和感もないと思いますね。

で、私が加納梨衣に期待してるのはこういうのじゃなくて。

ま、80年代のサブカルチャーが大きく取り扱われてるんで、特定の年齢層には響くかもしれませんが、そんなの、いくらでも他にやれそうな漫画家がゴロゴロしてますし、なんで加納梨衣がこれをやらなきゃなんない、と思うわけだ。

スターライトウーマン、よほど反響よくなかったんだろうなあ・・・。

生き残りをかけての再挑戦だったんでしょうけど、私に言わせれば作者の美点、長所が全部封印されてしまったように感じましたね。

その分、広く一般受けした、ってことなのかもしれませんけど。

どちらにせよ、私がオッサンなせいもあるんでしょうけど、この年で高校生同士の甘酸っぱい恋物語とか恥ずかしすぎて読んでられない。

またヒロインがねえ、もうほんとに奥手で面倒くさくて。

大島弓子かよって。

椿の花を落とさぬように、ってか。

20代のころでも大島さんのマンガ読んで自分は薄汚い、と思ったのに、それをなんで今更追体験しなきゃなんないんだ、と。

多分もう、スターライトウーマンみたいなことはやらないんでしょうね。

3巻で頓挫。

好きな漫画家が変節しちゃうのを見るのは辛いものだ。

作者はきっと悪くないんだろうけど。

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