1985年初版 手塚治虫
性格の屈折した天然3流タレント、根沖トロ子を主人公に、何故かトロ子にだけなつく謎の子供の妖怪ブッキラをコミカルに描いたオカルトコメディ。
あんまりぱっとしなかった作品だし、どうもうち切られたっぽいんですが、私は昔からこの作品がなんだか好きで。
こういうキャラのヒロインで怪奇現象を軸にストーリーを回していく、ってちょっと他にはあまり見あたらないように思うんですね。
各話の出来も、 すこぶる良い。
「猿の手」の回なんてコメディどころか、質の良いホラーと言ってもいい出来で、どろろにも肉薄するミステリアスさ。
妖怪の正体として「粘菌」を考察した回もお見事。
時代にそぐわなかったのか、当時のチャンピオンの誌風にあわなかったのか、不人気の原因はわからないんですが、もうちょっと続いて欲しかったと思うシリーズの中のうちのひとつ。
おもしろい、と思うんですけどねえ。
私の個人的な評価は高いです。