外道の書

1990年初出 イダタツヒコ
河出書房新社九龍コミックス

いわゆる不思議な力が宿る本とか、人皮でできた魔道書とかその手のアイディアは古くから多くの物語で形にされてきたように思うんですね。

そういう意味で題材に斬新さはない。

また、過去の類似作を凌駕するだけの仕掛けもない。

もっと忌まわしく、禍々しい物語にすることは可能だったと思うんですが何となくホラーアクションで終幕。

キャラクターの掘り下げも浅い。

特に主役の女の子ははっきりいって人格が破綻してると思います。

おもしろくなりそうな気配はあったんですが、それを形に出来なかった、って感じですかね。

すべてにおいて色々足りてません。

絵柄もどこか確立しておらず、安定してない。

後年のイダタツヒコを知る上で「興味深い」、それ以上の価値はなかなか見出せない一作じゃないかと。

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