アメリカ/カナダ 2014
監督、脚本 ケヴィン・スミス
人間をセイウチに外科的改造してやろうと執念を燃やす、サイコな老人に捕まった男の悲劇を描いたホラー。
もうほんとにね、どうしていいやら。
つっこみどころがありすぎて。
よくぞこの企画が通ったものだな、とつくづく思います。
なぜにセイウチ?
監督はどうしてセイウチなどという海の獣にこだわったのか、その思考の変遷を図式化してほしい、と真剣に思う。
映画自体は比較的ちゃんとしてるんです。
いちいちまわりくどい心理描写がわずらわしくもあるんですが、少なくとも突飛なネタで勝負、って感じではない。
だから余計にわけがわからなくなるんですね。
私が一番聞きたいのは、ケヴィン・スミス監督よ、あんたは本気でセイウチ人間の悲哀をドラマとして描きたかったのか、という点。
だって真面目なんですよ。
どう考えてもグロいギャグにしかならない題材なのに。
え?笑わせたいんじゃなかったの?と、筋を追えば追うほど物語は理解の外側へ。
またセイウチ人間の造形が医学的考察を全く無視したデタラメきわまりないものであることも混乱に拍車。
どう考えてもあんな無茶苦茶をしたら感染症で被験体は死ぬ。
ムカデ人間以上の飛ばしっぷりに呆れかえるやら、ばかばかしいやら。
エンディングなんてもう狂気の沙汰。
ブラックな笑いに走ってるとしか思えないのに、妙にシリアスでお涙頂戴にしようとしてる、ときた。
珍作としか言いようがないです。
自覚のない狂いっぷりがただただ疲労を招くカオスな一作。
ただですね、ひとつだけ私がひっかかってるのは、ホラーコメディのつもりで撮ったが、あんまり上手に出来なかった、ってことじゃないだろうな、監督よ、ってこと。
まさかね。