2025 日本
監督 関和亮
脚本 東村アキコ、伊達さん

・・・悔しいかな、泣いてしまったんで、何も言えない(言ってるけど)
漫画家、東村アキコの自伝的作品を映像化した一作。
原作は第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞およびマンガ大賞2015を受賞したほどの話題作で「胸打たれる」との評判でしたが、私は未読。
実を言うと、東村アキコの漫画自体を私は一作も読んだことがなくて。
ゆえに原作との比較はおろか、彼女の作家性すらわからん状態で、なにから推し量っていけばよいのか悩むところではあるんですが、それでもね、ひとつだけ言えることがあるとするなら、この映像作品は実にベタだってこと。
もうねえ、最初の意味ありげなモノローグからして、登場人物のスパルタ美術教師がどうなるのか、ほぼ予想がついちゃうわけですよ。
もうちょっとさりげないというか、乾いた感じに演出できなかったものかな、って。
前半の、割とコミカルな掛け合い(主人公と美術教師の)にしたってそう。
あー、ここから落差つけて突き落としたいわけね、終盤でいくつかのシーンを切り取って回想シーンに使うんでしょ?と全部、読めてしまう。
ま、それ以前の問題として笑いのテンポがよくないし、スベり気味、ってのはあるんですけどね、えー、まあいいか、お笑いパートもこの作品の大事な柱、ってわけでもないですし。
福田雄一観て勉強しろ、とは思いましたけどね。
総ずるなら、テレビ映画的で凡庸なんですね、結局のところ。
監督はこれが長編2作目らしいですし、なにかと不慣れな部分があったのかもしれませんが、それにしても光るものがない、と思った次第。
前作、地獄の花園(2021)からここ、ってのは畑違いすぎて難しかったのかもしれませんけどね。
東村アキコは本業を休んでまで撮影に付き合い、色々アドバイスしたらしいんですが、残念ながら映画自体のレベルは決して高くない。
ただ、それでもこれが実話なんだ、と思うと、悔しいかな、涙腺決壊してしまう自分が居て。
いや、すまん、ダメ出ししときながら、泣いとんかーい!というツッコミは甘んじて受けよう。
クッソ、もっとうまくやれる映像作家は他にたくさんいるのに、と思いつつも涙が止まらん間抜けな俺を、俺自身が一番恥じているのは偽りない事実。
いやもうね、年とるとほんとダメだな、と思いますね。
テクニックやセンスに酔わされる以前に、様式やパターンで気持ちのなにかが反応してしまいますから。
また、大泉洋がうまいのよ。
この人、こんなにうまかったか?って驚くぐらいうまい。
いい役者になったなあ、大泉、水曜どうでしょうのころとは見違えるようだ。
表情がすごくいいんですよね。
8割ぐらいは大泉の演技にやられた、と言ってもいい。
また、いまどき考えられないスパルタ美術教師と主人公女子高生の関係性がね、コンプラやらハラスメントでガチガチの現代社会に一石投じるものであるようにも感じられてね。
今なら100%アウトなのは間違いないんだけど「あの滅茶苦茶な経験があったからこそ今を頑張れる」と言える主人公がひどくまぶしく見えたりもして。
厳しく教えることがもうダメな現代日本はいったい何を失ったんだろう、などと考えだしたり。
つまるところこれって原作の力だと思うんですね。
まあその、勝ちか負けかでいうと泣いてしまった時点で負けなんで、何を言ったところでもう説得力がないのかもしれませんが、映画はさておき、俄然原作が読みたくなってきましたね、私は。
そういう意味では見た甲斐があったかもしれません。
ところでどうでもいいんだけど、脚本の伊達さんってなんだ?
ねじレート 俺の負け/100

