アメリカ/カナダ 2012
監督 オーレ・ボールネダル
脚本 ジュリエット・スノーデン、スタイルズ・ホワイト
シンプルに分類しちゃうなら、いわゆる「悪魔憑き」もの、になるかと思います。
この作品が特徴的なのは、実話がベースになってること、及び、ユダヤ民話に伝わる「呪われた箱」に閉じ込められた悪霊が祟りをなすホラーである、といった点でしょうか。
ただ、それが効果的に作品の差別化、独創性に貢献していたか?というと、それほどでもないような気が私はするんですよね。
素材の割にはよくあるタイプのホラーに落ち着いちゃったか、と。
前者に関しては、あきらかに脚色であると思われる描写が多すぎて、とても本当にあったことだとは思えないってのがあって。
派手に煽りすぎなんですよね。
後者に関しては、キリスト教の教義の及ばぬ怪異であるはずなのに、どこか普通にエクソシストな展開に陥っちゃってるのが解せない。
ユダヤにはユダヤなりのオカルトとの対峙の仕方があると思うんです。
適当にバチカンの作法を真似たかのような悪魔祓いの儀式がどうにも嘘くさいというか、ちゃんと調べてないだろ、みたいな。
親子愛を軸としたシナリオ展開もいかにもハリウッドって感じで、無難だなあ、と。
決して低品質なわけではないですが、なんの爪痕も残さぬまま定型をなぞっちゃったような感が強いんですよね。
辛辣な物言いをするなら、低予算ホラーならではの発意や挑戦心がない。
ウケを狙いにいったような印象が濃い。
どうせなら、とことん父親を追い詰めて、誰一人協力者の居ないまま娘を救うため狂気に身を投じる、ぐらいのことをやってほしかったですね。
普通に考えて「呪いの箱」が実在の悪意として共通認識される、なんてありえないわけですから。
ナターシャ・カリスの熱演や、悪魔が体内に巣食う絵ヅラ等、見どころがなかったわけじゃないんですが、記憶に残るとは言い難い、そんな一作でしたね。