魔山マウジンガ

1966年初出 石川球太
パンローリングMSS

好事家の間で高い評価を得ている作者の短編集。

といっても表題作は215ページにも及ぶ長編。

巨像狩り、黄金の虎、の2篇が併録されてます。

由緒正しく秘境冒険アクション、といった風情の物語なんですが、特にこの作品ならではのなにかがあるわけでもない、ってのが辛いところですかね。

66年の作品の割にはちょっと古くさいかな、という気も。

冒頭で行方不明の兄を探す、という動機を提示しておきながら、それが全くストーリーに絡むことなく終わってしまったことにもいささか唖然としましたし。

熱心なファンにしか受け入れられないのでは、というのが正直なところですかね。

ま、もともとこのパンローリングMSSって出版社はその手の埋もれた作品ばかり復刻してるわけですが。

巨人獣で石川球太を知った人はいささか失望するかも。

本来はこういう作風の人なのでは、と思ったりもしましたけどね。

今あらためで読んでどうこう、っていう作品じゃなく、当時のファンの思い出の中にある一作をもう一度、それ以上でもそれ以下でもない、そんな感触を受けました。

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