アメリカ 2017
監督、脚本 ジェームズ・ガン
格別目新しいわけでも、斬新なわけでもないと思うんですね。
以前も書きましたけど、銀河を股にかけて暴れまわる異種族混交のトレジャーハンター、というプロット自体が強烈に80年代臭を撒き散らしてますし。
主人公、スターロードの出生の秘密に焦点を絞ってきたシナリオも、この手のスペース・オペラじゃ王道と言っていい。
いわゆる「親殺しのモチーフ」が物語の核となってるわけですが、これってスターウォーズを例に出すまでもなく古今東西で神話の時代から繰り返されてきたテーマなわけで。
どこを切ってみたところで、もうほんと特別なことはなにもやってないのは確か。
なのに、だ。
なのに面白い。
前作だけのイレギュラーかと思ったら今作も見劣りすることなく面白いんだから、マジで大したものだと思います。
かつては着想があっても技術的問題で表現できなかったことがCGによって可能になった、というのも大きいでしょう。
でもそれ以上にこのありきたりな物語を成功に導いたのは、ひとえにジェームズ・ガンの才覚と手腕でしょうね。
ちょっとした遊び心を混じえながら、笑いとドラマの両立を完璧にコントロールしてるのも凄いと思うんですが、見せるべきはとことんド派手に見せて、引くべきときはすっと引く緩急のつけ方がやっぱりうまい。
シナリオ進行にメリハリがあるんですよね。
観客をやきもきさせる手管も実にしたたかで舌を巻く。
また、狂騒的に勢いで乗り切ってしまうのかな、と思いきや、最後にきちんと布石を拾った劇的なクライマックスが用意されてるのもお見事の一言。
ひとつだけ残念だったのは終盤におけるヨンドゥの行動がいささか唐突過ぎるように思えたこと。
これ、前もって宇宙服がひとつしかないことを周知させておけば完璧だった、と思うんですが、まあ重箱の隅か。
そりゃヒットするわ、と納得の一作ですね。
いつもの私ならわざわざ21世紀にやるようなネタじゃない、と酷評してるところだと思うんですが、叩きたくても叩くところが見当たらない、というのが正直なところ。
個人的にはカート・ラッセルが重要な役で抜擢されてるのがちょっとうれしかったり。
ジェフ・ゴールドプラムも出てるらしいんですけど、どこ?
マーベル・シネマティック・ユニバースの作品群において、ひょっとしたら一番期待できるシリーズになるかもしれませんね。
ある意味レトロなSFとも言える冒険活劇を、現代に蘇らせた大作でしょう。
脱帽です。