アメリカ 2009
監督 ジャウマ・コレット=セラ
原案 アレックス・メイス
いや私、この手のね、子供なんだけど大人並みに知恵が廻って実は本性が悪鬼っていう筋立てのホラーってね、あんまり好きじゃないんです。
子供って、本質的に獣で残酷じゃないですか。
獣に知恵をつけさせたらそりゃ、大人は太刀打ちできませんよ、って話であって。
大抵の大人は子供に寛容ですから。
子供は社会で庇護してやるべき対象である、とした通念がね、ひっくりかえされちゃいそうで、なんか嫌なんです。
自分が子供を嫌いになっちゃいそうでね。
それでもあえてこの作品を見たのはジャウマ・コレット=セラが監督しているから、に他ならなかったわけですが、正直終盤までは、どこかで見たような展開そのもの、でした。
多分こうなるんだろうな、と思ったとおりにストーリーが進行していく。
なんかオーメンとか思い出しましたね。
見どころはラストで明かされるエスターの正体、まさにその1点なわけですが、これもね、実は途中で私、気づいてしまいました。
まさかこうじゃないだろうな、と思ったオチ、そのままだった。
怪談とか都市伝説とか詳しい人は私と同じように見破っちゃうかもしれませんね。
ただね、わかっていても怖い、って事、あると思うんです。
私にとってこの作品はまさにそれでした。
もうね、エスター役のイザベルファーマンの演技がただただ不気味なんです。
特に正体がばれてからのエスターの気味悪さときたらもう。
それらしく見せるためにあれこれ腐心したであろうメイクやカメラ映りも見事な仕事、と言っていいでしょう。
もはや人を超えて異形なんですね。
異形を演出した手腕こそ、この作品のもっとも評価されるべき部分では、と私は思います。
決して新しくはありませんが、記憶に残る1本、と言っていいのではないでしょうか。
余談ですがアナザーエンディングも必見の気持ち悪さです。
どちらのエンディングがよかったのか、一概に答えは出せませんが、透けて見えるエスターの心の闇が鮮やかに狂気を彩っていて、鳥肌ものです。
さすがはセラ、の一言ですね。