デンマーク/フランス 2014
監督、原案 ヨナス・アレクサンダー・アーンビー

私はてっきりこの作品、北欧ミステリだと思ってたんですね。
そそっかしい思い込みのせいで最初につまづきがあったことはまあ、認めます。
あれ?なんだこの展開?え?ホラーなの?どうなってんだ?はあ?と序盤であわてさせられたのは確かですし。
すんなり作品世界に入っていけなかったことが評価を捻じ曲げちゃってる部分もひょっとしたらあるのかもしれない。
でもね、それにしてもだ。
なんなんだこの作り手の思い入ればかりが先行した実態のなさは、と。
あげつらえばきりがないんですけどね、そもそもヒロインは異形なわけです。
狼少女でも吸血鬼でも何でもいいんですけど、最大の難点は彼女を取り巻く村社会のあり方があまりに曖昧で安穏としていること。
どうやら母親も同じらしいんですけど、基本、集団と言うのは徹底的に異物を排斥するものですよね。
そうできないのはなんらかの弱みを握られているか、異物そのものが信仰の対象である場合ぐらいでしょう。
それがね、まあ色々問題あるけど薬で抑制してるから大丈夫だね、みたいな感じで普通に社会の一員として受け入れられてたりするんです、作中では。
観客の想像に任せていい部分とそうではない部分が物語には存在する、と私は思うわけです。
早い話がヒロインを異形のヒロインとして立脚させるための舞台装置にデティールが存在しない。
全部その場しのぎで話が進んでいくんですよ。
ヒロインの彼氏にしたってそう。
何故彼氏はそこまでヒロインに肩入れするのか、一切語られないし、描写されることもない。
額面どうり解釈するなら、一度寝たらなんか変になついちゃったバカ、としか写らない。
こんな男、窮地に陥ったら平気で裏切るぞ、と私なんかは思う。
それを純愛だとか言われてもなんの寝言なんだ?って話で。
クソ安い少女漫画(70年代)かよ、としか言いようがないです。
作り手が勝手に自己陶酔して雰囲気に酔ってる代物を見せられても迷惑なだけ。
すいません、なんの評価もできません。