アメリカ 2012
監督、脚本 H・P・メンドーサ
幽霊と霊媒師の交信を、幽霊の1人芝居の形式で描いたホラー。
まあ、発想は面白かった、と思います。
予算のなさをアイディアでカバーする、と言う意味では秀逸、と言ってもいいかもしれない。
自分の死を自覚できない主人公の幽霊が、実は解離性人格障害だった、という展開も興味をそそられるものがありました。
人格障害を患った女の魂はいったいどうなるのか、という答えの提示は、ホラーを逸脱し、オカルト学的考察にも手を伸ばしていたように思います。
ただですね、この作品、残念ながらそこまで、なんですよね。
極端な言い方をするならオチがない。
広げた風呂敷を閉じられないままなんとなく終わってしまった、というか。
やはりエンディングで、なるほどそう来るか!と思わせてこそ、投げかけた波紋も意味を成す、と思うんです。
これでは「奇抜だったんだけどね」で終わり。
映像に工夫が足りない、とも感じました。
あの世からの視点なわけですから、普通にお姉ちゃんが日常を送ってます、時々カメラのアングル変えたり、二重写ししたりしてます、だけじゃあ、やっぱり伝わってくるものがあまりに少ない。
これじゃあ舞台と同じ。
また主役の日系人アンナ・イシダが丸顔でつやつやしてて怖くもなんともなくて。
誰が幽霊を客観視しているのか?もしくは幽霊は何を見ているのか?にこだわって、異世界を現出させて欲しかったですね。
小品、といった印象。
もう少し予算を確保できた時に何を撮れるか、評価はそれまでおあずけ、といったところでしょうか。