アメリカ 2015
監督 ジョン・エリック・ドゥードル
脚本 ジョン・エリック・ドゥードル、ドリュー・ドゥードル
仕事の赴任先で訪れた東南アジアの小国で軍事クーデターに巻き込まれ、妻子を連れての決死な脱出行を余儀なくされたサラリーマンを描いた作品。
外国人は見境なく皆殺し、交渉の余地はなし、という状況下で、女子供を連れて見知らぬ街を逃げ惑う緊張感は凄まじいものがあった、と思います。
手に汗握る、とはまさにこのこと。
特に前半のビルからビルへと飛び移るシーンなんてもう竦みあがった。
ビルの谷間で子供を妻めがけて投げる画は、その行為だけで色んな感情が語らずとも伝わってきて、こりゃ圧巻の名シーン、と思いましたね。
ただ欲を言うなら終盤にもうひとつかふたつぐらい、ヤマ場が欲しかった。
なんとなくしぼんじゃったな、という印象はなきにしもあらず。
前半で仕掛けた伏線が窮地で生きる、みたいな展開があればもっと楽しめたかも。
あとは主演のオーウェン・ウィルソンでしょうか。
悪くはないんですけど、完全にピアース・ブロスナンに喰われてます。
ブロスナンが登場するやいなや全部持っていかれてる状態、というのはやはり好ましくはない。
昨今のハリウッドお得意の家族愛みたいなところに着地するのもいささか安直。
死地をくぐり抜けたからこそ見えてくるもの、もあったはずだと思うんです。
そこを上手に描写できてたらこの作品のグレードはさらにワンランクもツーランクも上のものになっていたはず。
特に批判するような部分もなく、すべてにおいてそつなくこなした及第点以上の作品だとは思いますが、ドキドキさせられたけど終わってみれば何も残らなかった、ってのはあるかもしれません。
それこそが娯楽映画の真骨頂なのかもしれませんけどね。