アメリカ 2014
監督 スコット・フランク
原作 ローレンス・ブロック
90年代のニューヨークを舞台に、誘拐事件の交渉を引き受けざるを得なくなった自称私立探偵の奔走を描いたサスペンス。
とりあえずリーアム・ニーソンは渋くて大好きなんで応援したいのはやまやまなんですが、それでもですね、まだこういう役柄を彼に振るのか、というのはどうしたってありましたね。
忘れられない辛い過去があって、酒に溺れたりもした孤独な男、ってキャラ設定がね、もういい加減観客も食傷気味だと思うんです。
ダイハード以降のハリウッドの伝統なのかもしれませんが、さすがにそろそろこの手の安直な設定は脱却して欲しい、とつくづく思う。
数字が期待できる、ってことなんでしょうけど、似たようなところで使いまわしされてちゃあせっかくの人気も早々と陰りを帯びるぞ、と思うんですがどうなんでしょう。
まあ、それでもとりあえず見ておこう、とする、私みたいなのがいるから連鎖も止らないんでしょうけど。
内容自体は可もなく不可もなくハードボイルド。
格段スリリングであったり、胸を打つ描写があったり、ってなこともなく。
そこはやっぱりここ最近タッグを組んでるジャウマ・コレット=セラの一連の作品に比べると若干劣る。
ちょっと淡々としすぎかな、とは思いました。
あえて派手さをおさえてるのかもしれませんが、そのことがなにか別の効果を産んでいるというほどでもないんですね。
ようやく盛り上がってくるのが終盤の直接やりとりするシーンから、ってのはやっぱり立ち上がりが遅すぎる。
シナリオは悪くないんです。
ただシナリオのよさを上手に演出しきれてない。
例えばTJが車に隠れるシーンなんかにしても、もっとハラハラさせる見せ方は出来た、と思うんですね。
思い切ってラストをスプラッター並みに血しぶき飛ばしまくる、というのも発想としてはありだった、と思いますし。
ニーソンはいつもどおりかっこいい中年でしたが、結局のところ監督がそれを生かしきれてない、と感じました。
ファンのための一作。
歳月とともに他の作品と混同してしまいそう。