アメリカ 2002
監督 デヴィッド・フィンチャー
脚本 デヴィッド・コープ

一般にはフィンチャーの失敗作、なんていわれてますが、私はそれほど悪くはないのでは、なんて思ってたりします。
入居した屋敷に偶然前住人の隠し財産があり、 それを狙う強盗団とうっかり鉢合わせ、という展開に新鮮味はありませんが、それをどう見せるか?という工夫は決して凡庸じゃなかった。
避難部屋であるはずのパニック・ルームが避難部屋にならず、むしろ陣取り合戦の様相を呈する、というパラドックスがまずよくできてますよね。
それゆえ街中で孤立してしまうという筋立てもいい。
逃げるに逃げられず、出ようにも出られないジレンマは上手に途切れぬ緊張感を保持していたように感じました。
なによりシナリオがしっかりしてるのは確か。
なんで今警察に知らせるなり、外に飛び出すなりしないの?ってな、つっこみをいれる余地がないんですね。
瞬発力任せの力技に頼ってないんです。
最後まで徹底して知恵比べなんですね。
フォレスト・ウィテカー演じるバーナムがちらりと垣間見せる人間性みたいなものもサスペンスの渦中にさりげなく心憎いドラマを演出していたように思います。
やはりジョディ・フォスターという名女優の当時のイメージを作品にどう反映させるのかという部分と、ラストシーンのあっけなさが不評を買ったんでしょうかね?
ジョディはいつもと変わらずかっこいい女そのものでしたが、まあ、絶対負けちゃうはずはないよね、ってみんな思ってたと思うんです。
そこをフィンチャーはひっくり返さなかった。
観客は裏切って欲しかったんでしょうね、きっと。
フィンチャーだから、ってことでハードルが上がってるのは間違いないと思うんで、一度そこをリセットして見てもらえれば、と私は思います。
何の情報もなければ、思わぬ拾い物!と評価されていたのでは、という気がするんですが、判官びいきですかね。