アメリカ 2013
監督 ヴィク・アームストロング
原作 ティム・ラヘイ
突如乗組員も含め数十人の人間が消失した旅客機の、決死の着陸を描いたパニックSF。
人間の消失は実は数百人規模で全世界に及んだ、という設定なんですが、似たような話はスティーブン・キングにもXファイルにもあったような気がして、正直あまり新鮮味はありません。
妙に宗教色が濃いのも気になった。
信仰心の薄い父娘が物語の主役なんですが、その父娘の目線を通して惨状を見つめることで、キリスト教とは何なのかを紐解いていくような感じなんですよね。
特にオープニングの空港での、とってつけたような問答はその典型。
調べてみると原作のティム・ラヘイと言う人はプロテスタントの牧師で、福音派だとか。
納得。
まあ、宗教云々を抜きにしてもなにゆえヨハネの黙示録で、突然の終末なのか、前フリも伏線もまるでなしなんで、ストーリーに親和性がない、というのはどうしたってあるんですけどね。
シナリオも散漫。
もっともっと手に汗握るドラマを劇的に演出できた、と思うんですね。
特に娘の妙に長い放浪シーンはどう考えても蛇足。
全部カットしてもよかったんじゃないか、とすら思う。
なんのオチにもなってないエンディングもだからどうなんだ、といいたくなるお粗末な感動路線。
1人気を吐いていたニコラス・ケイジが不憫でなりません。
それともこれ、続編作る気なんでしょうかね。
原作ではこの飛行機事故をきっかけに父娘はその後、熱心なキリスト教徒になるみたいなんですが、そこまで忠実にやったならそれはそれで凄いかも、と思わなくもありません。
なんにせよ、帰依を促す文脈が物語の邪魔。
啓蒙したいなら啓蒙したいで、おかしな回り道はやめて「宗教映画です」と堂々としていたほうがいい、と思う次第。