フランス/チュニジア 1986
監督 ロマン・ポランスキー
脚本 ロマン・ポランスキー、ジェラール・ブラッシュ

2015年現在、未DVD化。
VHSはそれなりに出回ってるみたいですが、ほとんど話題になってないような気がします。
はて?
カリブ海を舞台に、強欲な海賊レッド船長を主人公とした海洋ドタバタコメディ、といった按配の作品なんですが、それほどひどい出来、というわけでもなし。
興行的に大コケしたんですかね?わかりません。
登場人物の風体から察するに17世紀ぐらいのお話ではないのか、と思うんですが、世界史に詳しくないんであまり自信はなし。
衣装やセットを見てると、これ、結構な制作費がかかってるのでは、と類推。
調べてみたら当時で40億円とか。
それで日本未公開、というのだからよっぽど評価されてなかったんだろうなあ、と。
オープニングはどこかコントっぽい感じ。
部下のカエルとレッド船長のやりとりがばかばかしくて楽しいです。
海洋アドベンチャーみたいなくくりで望むと拍子抜けしてしまうかもしれませんが、67年の吸血鬼みたいなもの、と考えて見るなら、なんらポランスキーらしさは損なわれていません。
目をひくど派手なアクションや大仰な仕掛けはありませんが、痛風の市長とのコミカルなやりとりや、財宝の台座とともに海上に張られた鎖に取り残されるシーンなど、見せ場は盛りだくさんです。
思い切ってカエルと貴族の娘のラブロマンスみたいな方向に舵を切ったらまた評価も違ったのかもしれませんが、そう安易には落としたくなかったのかもしれませんね。
ループするオチが定番とはいえ、私は好きです。
ポランスキーファン以外にアピールできるものは少ないかもしれませんが、決して失敗作とは言えない、と思うんですけどねえ・・。
多分、観客の期待する海賊ものとズレがあった、ということなんでしょう。
ヒロイン役のシャーロット・ルイスが可憐で美しいです。
ほんとポランスキーはいつも女優を綺麗に撮るなあ、と感心。
予算の割には佳作といえるかもしれませんが、これをつまらない、とは言えないように思いますね。