1975年初出 柴田昌弘
メディアファクトリーMF文庫 1~3巻(全11巻)
初期はマーガレットに掲載、その後花とゆめに場所を移してブルーソネットのタイトルで長期連載された少女を主人公としたエスパーもの。
とりあえずマーガレット時代は大変なことになってる、というのが正直な感想。
古代人類の血をひいた人間を人工的にかけ合せて作り上げられた子供、超人類ランを、組織のやり口に我慢できなくなった博士が誘拐し、その後、何故か狼に育てられ日本に帰国、って、いやもうこれ、あれこれ欲張りすぎだろう、と。
どこからつっこんでいいのかわからなくなるぐらい複雑な設定に否応なく脱力。
古代人類というのもうさん臭さ満開なんですが、狼少女はどう考えても蛇足だと思います。
なぜ狼に育てられなきゃならない?
その後の展開もエスパーものでは鉄板、といえる作話のオンパレード。
人類の支配をたくらむ悪の武器商人タロン、って009かよ、って話ですし、学園でその正体を隠しながら敵と戦う悲劇の少女という構図もあまりにありがちで特にひきつけられるものはなし。
ストーリーがおもしろくなってくるのは「ブルーソネット」をタイトルに抱いてから。
タロンの走狗として肉体を機械に置き換えた少女サイボーグ、ソネットが登場するんですね。
お互いに疑問を感じながらも、ぶつかり合わざるを得ないソネットとラン。
ああ、これは人気でるわ、と納得。
こう言う形で争いあう少女を描いたSFって、なかったように思います。
ただ私の場合はオープニングの段階で激しくすっ転んでしまったんで、どうしても感情移入できぬまま。
全巻読んでないので断言は出来ませんが、少女エスパーのSFアクションとしてはひとつの分水嶺になったのでは、という気がします。
ブルーソネットから読めばよかった、とつくづく思う次第。