1976年初版 小池一夫/小島剛夕
秋田漫画文庫 全4巻
道中師と呼ばれる掏摸の世界を描いた時代劇。
スリ集団の縄張り意識やしきたり、決め事を細かに描いた当時の裏社会の描写は興味深いし、それを題材にして物語を紡ぐ発想はさすがだと唸らされるものがあるんですが、幾分残念だったのは作者お得意の復讐譚がストーリーの軸になっていること、ですかね。
なんせ小島剛夕との黄金コンビでの時代劇ですんで、それだけで胸躍るものはあるんですが、復讐といえば子連れ狼という同コンビによる当代無比の大傑作がありますんで、どうしたってまたか、と思うし、使いまわしてる感は否めない。
復讐劇って読者を取り込みやすい、とは思うんです。
だからこそ、この布陣ならではのマジックであえて別のドラマを描くことも出来たのでは、ってどうしても思ってしまう。
若干駆け足気味の展開、目的を遂げてはい、おしまい、としたエンディングもあっさりしすぎてて読後感にひたらせてくれない。
決しておもしろくないわけではないんですが、数々の名作が存在するコンビゆえに読む側のハードルもあがっちゃってる、という事なのかもしれません。
他が凄すぎるんですよね、結局。
佳作でしょうか。