オーストラリア 2015
監督 ジョスリン・ムーアハウス
原作 ロザリー・ハム
劇場未公開、WOWOWでのみ放映された作品を、DVD化にあたって改題したもの。
もともとの邦題は「復讐のドレスコード」。
原題がTHE DRESSMAKERなんで、リベンジャーよりはドレスコードの方がまだ近いかも。
リベンジャーだと同じタイトルの映画が腐るほどあるし、内容を誤解されかねないんで、あんまり良くないんじゃ・・と私は思うんですが、おそらくはあんまり注目されないであろうことを見越してアクション映画好きを釣りにかかったんでしょうね、発売元が。
で、釣られたのが私なわけだ。
はい、アクションじゃないです。
かすってもないです。
ケイト・ウィンスレットが銃を手に悪辣な男どもを血祭りにあげる・・・なんて場面を期待したりすると大きく肩すかしをくらいます。
どっちかというと、サスペンスと言うかミステリに近いですね。
人殺しの汚名をきせられて、故郷を追われた女が数十年ぶりに実家へ戻り、事の真相を明らかにする、というのが物語の主筋。
で、それがなぜDRESSMAKERなのか?というと、主人公の女が服飾デザイナーだから。
女の作るドレスが故郷の町で「やだ、すてき(•ө•)♡」と話題になるんですね。
なぜか主人公は、自分を石もて追った街の女にドレスを作ってやるんです。
これがどう復讐につながって、町の人間を見返すことになるのかさっぱりわからんままいつしか物語は女とイケメンの恋物語に舵を切ったりなんかもして。
ああ、これは免罪をテーマにしてるのかな、と。
寛恕の心を描いた人間ドラマなのかな、と私は思ったりもした。
ますますリベンジャーじゃないじゃん!と途中でつっこんだりなんかもして。
ところがだ。
まるで韓流ドラマのようなアクシデントが中盤で女を襲う。
そこから急に女は人が変わったようになにやら画策しだす。
終わってみれば、ああ確かに復讐劇だったね、って感じなんですが、じゃあ前半の展開はいったいなんだったの?ってのがこの作品最大の不可解さでして。
寄り道するにも程があるんじゃねえか?という。
そもそも目的があって主人公は故郷に帰ってきたんだろうし、物語がつまびらかにすべきは目的に沿った女の行動であって、顛末であるべきはずなんです。
すべてが思いつきで行動してる風なんですよね。
だから敵味方が終盤にいたるまではっきりしないし、派手なエンディングにカタルシスも得にくい。
えっ、ひょっとして何も考えてなかったの?としか言いようがない野放図さなんです、すべてが。
うーん、とても原作があるとは思えないですね。
なにか肝心な部分を監督はすっ飛ばしてるんじゃないか?としか思えない。
劇場未公開、及び、改題も納得の一作ですね。
オカンと主人公の女とのやりとりや、クロスドレッサーな警官の存在は面白かったんですが、ストーリーを編むというのがどういうことなのか、よくわかってない映画だと思います。
だめ、やり直し。
もう一度シナリオ構成から再吟味を。