地球を呑む

1968年初出 手塚治虫

なんとなくプロットが小池一夫風だなあ、とか思ったりも。

たった1家族の復讐心が世界をひっくり返す、という無謀な設定が悪い意味で漫画的で、どうにも作品にはいり込みにくい、というのはありますね。

何故か途中で世界観を同じくする連作短編形式になり、その後またストーリーは最初とつながるという謎の構成なのですが、その連作短編の中の一作「アダジオ・モデラート」が本編を遙かにうわまわる必殺の傑作でびっくり。

これ、映画にして欲しい、とすら思いました。

間違いなく劇場で泣くな、これは。

どう見積もっても本筋よりこちらの方が珠玉の出来です。

総合的に評価して何かと定まらない印象をうける内容なんですが、かといって短編を捨て置くのもあまりに惜しいし、はて、どうしたものやら、と購入を悩むことになりそうな1冊。

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