2025 アメリカ
監督、脚本 ザック・クレッガー

本格ミステリにも似た細やかな作劇が、アクロバティックなオチにそぐわなすぎてあっけにとられる
深夜2時17分、突如として自宅から姿を消した小学生17人の謎を追うスリラー。
とにかく序盤からインパクト抜群です。
ティザービジュアルにもありますが、地域一帯の家々から、真夜中に子供たちが両手を広げて飛び出していくシークエンスがなんとも強烈で。
いったい何が起こってるのか理解できないばかりか、不気味さの姿形が想像の外側ではためいているようにも感じられて。
いやその、日本的にいうならね、これ、アラレちゃん走り(オッサンにしかわからんか)なんですけどね、それをツッコむよりも先に怖さが先に立っちゃう有様で。
いやはやすごい絵を最初から持ってきたな、と。
ていうか、こんなの合理的な説明がつくのか?と。
ハーメルンの笛吹きでも連れてこないことにゃあ、納得のいくオチつけられんぞ、って。
ま、大きく評判になった作品ですしね、煙に巻くようなことはあるまい、と信じて観進めていったんですが、お話が進行すれば進行するほどに『消えた17人の謎』はどんどん深まっていくばかりで。
複数の登場人物の視点から、事件の様相が多角的に語られていく構成にやきもきさせられたことは確かですね。
もうほんと少しずつ、じりじりと真相が輪郭を帯びていくんです。
アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の初期作や、イレブン・ミニッツ(2015)にも似た細やかでリピートする作劇が、はやる気持ちをミステリの謎解きにも似た高揚感にすりかえていく。
ようやく事件の真相が明らかになるのは、6章に章立てされた物語のまさに最終章。
いやもうね、仰天でしたね。
てっきりスリラーだと思ってたからさ、まさかこんな種明かしが待ってるなんて思いもしなくて。
これから見る人のためにひとつだけ忠告を。
この作品、ホラーです。
詳しくは書けないけど、ホラーを許容できない人はやめておいた方がいいし、場合によっちゃあ「ふざけんな」「騙された」って気持ちになるかもしれない。
かように結末はアクロバット。
4章ぐらいまでの煽り方が本格サスペンス(ミステリ)調すぎましたね。
そりゃ多くの人は現実的帰結を求めちゃいますよ、この文脈だと。
けど、だからダメなのか、というと決してそうではなくて。
まあ、若干ね、反則気味な気がしなくもないんですが、生粋のホラー好きとしては消えた17人の謎をこういう形で解き明かしてみせた手腕に感心させられたことは間違いない。
いや、普通の発想じゃつながらないですよ、児童大量失踪ネタとこのオチは。
アガサ・クリスティーがスティーブン・キングと正面衝突したような映画だと思いましたね。
謎は解かれているが、なぜそうなったのか?に関して想像の余地が残されている作風もホラーとして秀逸だと思いました。
話題になったのも納得の一作。
次作が楽しみな監督がまた一人現れましたね。
余談ですが、最近見た映画の中にちょっと似てるな、と思える作品があるんですが、思いっきりネタバレになりそうで何も書けない、すまん。
しかし、この内容でなんでタイトルがウェポンズなのかなあ、わからん。
ねじレート 88/100
