2009 アメリカ
監督、脚本 ジェームズ・キャメロン

クリエィティビティ溢るる映像と、隙のないシナリオにノックアウト
惑星パンドラに駐留し、地下資源を狙う人類と、掘削を許さない原住民ナヴィとの戦いを描いたSFファンタジー。
先頃、続編であるアバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022)がDISNEY+の縛りから外れて発売されたんで、復習のつもりで今回見たんですが(なんせ10年以上前なんでほとんど覚えてない)いや、もうびっくりしましたね。
ここまで圧巻のSF大作だったか、って。
なんだかもう、久々に地球外のお話で胸躍ったというか、SFの凄みを堪能したというか。
当時、リアルタイムで見たときはそれほど感銘うけなかったんですけど、改めて確信しましたね、相当なポンコツだったな、15年前の俺は、と。
いや、さかのぼればさかのぼるほど自分がポンコツに拍車かけてるのは理解してるつもりなんですけど、たかが15年でここまで印象が変わるかー、って。
コロナ禍やサブスク普及の影響で、SF映画に大金つぎ込めなくなったせいもあるのかもしれませんが、少なくとも、こうもゴージャスかつ超一流の映像作家の手管が味わえる作品って、10年以上見てない気がしますね。
なんといっても眼福だったのはイマジネーション豊かな映像で。
地球上では存在しない生物が跳梁跋扈する惑星パンドラの昼と夜が美しいやら、幻想的やら。
正直言って、ファイナルファンタジーⅩ以降の野外フィールドや、天空の城ラピュタやナウシカを思い出す造形や佇まいがあったりはするんですが、デティールへのこだわりっぷりとメイドインジャパンの次へ踏み出そうとする気概がすごくて、もう降参、みたいな。
いったいどれぐらい資金投入してるんだ、って。
ま、キャメロン本人が宮崎駿大好きらしいんで、きっと自分の作品でもやりたかったんでしょうね。
そこは目くじら立てずに、天下のキャメロンに真似されるぐらいだから日本すげえな、ぐらいに思っておけばいいと思う。
パクリだなんだでケチつけちゃうとせっかくの大作も楽しめなくなっちゃいますし。
で、何よりキャメロンが凄かったのは、良く言って仮面ライダーV3、悪く言うなら蛇を擬人化したかような爬虫類顔の狂相である原住民ナヴィを、本編2時間42分を終えるころには親しみを感じてしまう存在にまで昇華させたこと。
映画が終わるころには原住民ネイティリとか、シガニー・ウィーバーよりよっぽど愛らしいな、と思えてくる始末(すまん、シガニー)。
表情の作りこみとか、演出のおかげもあったんでしょうけど、普通は群青色の異星人がかわいいとか思わないですよ。
なにがそこまで印象を変えたのか、自分でもうまく説明できないんですけどね。
観た人みんながみんなそうだとは思いませんが、そう感じた人はきっと多かったはず。
じゃなきゃ全世界で歴代興収一位になんてならない。
これ、すごいマジックだな、と思いますね。
原住民ナヴィをどういう風に撮ろうと思ったのか、これ、ほんとキャメロンにじっくり質問してみたいところ。
また、シナリオの出来も、わかりやすい英雄譚ながら、小さなギミックが効いていて秀逸。
主人公が車椅子生活というのがまず強烈な説得力を生んでるし、主人公自身はかりそめの姿(アバタードライバー)である、ってのが絶妙なスリルを生んでいて。
これって乱暴に言っちゃうなら、兜甲児がマジンガーZに乗り込んで別固体化するみたいなもんでね、様式としちゃなんら新しくはないというのに、それが人種を超えたつながりを描く上で重要なキーポイントになったりしてるわけだからほんと恐れ入る。
中でも私が感心したのは、エイワ(ナヴィの神)の前でシガニー・ウィーバー演じる博士がアバターと共に横たわるシーンで、まさかこれが物語最後の伏線になってるなんて思ってもみなかった。
振り返ってみれば、お話そのものはややこしくも難しくもないエンタメなんだけど、きっちり要所をおさえていて破綻がないばかりか、結果的には白人による侵略戦争へのアイロニーにもなってる、ってのが見事というほかない。
なんだかもう、大興奮した3時間弱でしたね。
そりゃ世界中で一番売れるわ、これ。
こういうSF映画がまたたくさん発表される時代になればいいなあ、なんて気持ちにさせられた至福の映像体験でございました。
傑作でしょ、さすがに。
ねじレート 96/100

