2024 フランス/日本/ベルギー/ルクセンブルグ
監督、脚本 黒沢清

いかにもな監督らしさと、理解不能な出来の悪さが混在する困った一作
殺された娘の復讐を自らの手で遂行する男と、男に手を貸す日本人女医を描いたリベンジスリラー。
なぜ日本人女医が男に手を貸しているのか?並びに、なぜ警察や、その筋の人間に頼らず、自ら手を汚しているのか等、序盤から謎だらけのストーリー進行だったりはするんですが、プロット自体はそれほど特徴のあるものではありません。
似たような復讐劇は履いて捨てるほど古今東西に転がってる気がしますね。
そんな有象無象の中にあって、この作品が類似作を突き放して頭一つ抜けているか?というと、残念ながらそれほどのポテンシャルもバイタリティもなくて。
いや、今回も黒沢らしいな、とは思うんです。
不穏で気味悪くて。
タイトルにもなってる『蛇の道』を象徴するかのようなボディバッグを引きずるシーンとか、もう本当に笑いと紙一重の意味不明さを秘めていて(褒めてるんです)。
ボディバッグに人間を詰めて誘拐することに犯人二人が異様にこだわってるんですよね。
観念してる人間すらボディバッグに詰めようとするおかしな『様式』に、なんか狂気すら立ち上ってくる、というか。
なんで二人して重い思いして森の中、走ってるんだよ!みたいな。
終盤、元妻と復讐者である男がはからずも再会するシーンだってそう。
深刻さを、強烈な場違いで演出する絵面がなんとも奇妙に異質な感じで(これも褒めてるんです)。
柴咲コウの没感情な演技も、何を考えてるのかわかんなくて強いインパクトがありましたね。
シンプルに、この女、怖い、って感じで。
ただね、そういった見どころに比して、残念ながらシナリオに意外性がないし、ストーリー進行に説得力がない。
これ、わざとやってるのか?と疑いたくなるぐらい復讐者の拉致計画がずさんだったり。
銃撃戦の場面で主人公が、何の根拠も背景もないのに無敵だったり。
ひょっとしてすべて虚構、夢うつつってことなのか?とか勘ぐってしまうほどに(なんせ黒沢だからなあ)適当というかスッカスカなシークエンスが突然続いたりするんですよね。
フランス人の役者陣が、黒沢の意図を完全に理解してなかったのでは、という気も少ししましたね。
小さな違和感の積み重ねが作品をちぐはぐにしてしまってるような。
本作、修羅の極道 蛇の道(1998)のセルフリメイクらしいんですが、猛烈にオリジナルが見たくなりましたね。
オリジナルを見ることができれば、黒沢清がこの作品で何をしたかったのか、今以上に考察できる気がします。
黒沢監督のファン向きの一作、ですかね。
ファンはなんだかんだ言いながら最近活発な監督の活動を喜んでるはずだと思いますし。
たとえ、公開された作品が不出来であろうとも。
いやまあ、私のことなんですけどね。
ねじレート 68/100

