ラン・ベイビー・ラン

2024 スペイン
監督 トニ・アンドゥハー
脚本 トニ・アンドゥハー、エリック・ストレイバー

ジョギングしてる最中に偶然出会った男がサイコパス野郎だった、ってなアクションスリラー。

近年見たデスパレート・ラン(2021)みたいな感じなのかな、と最初は思ってたんですが、いやー、主演のナオミ・ワッツにね「こんなのと一緒にしないで!」って怒られるレベルだったりしましたね。

デスパレート・ラン自体、それほど優れた作品だと私は思ってないんですけど、それ以下なんだから、ほんともうね、どうしたものか、って。

心情的には「見ようと思ってるなら悪いことは言わないからやめとけ」でこの記事終わりにしたいところなんですけど、それだとブログが成立しないんで、あー、もう少し書きます。

とりあえずズレてるなあ、と思ったのはサイコパス野郎がどっちかと言うとジェイソンとかレザーフェイス系のサイコキラーっぽくキャラ立てされていたこと。

これね、サイコパスとサイコキラーって字面が似てるから文章だと実感わかないかも知れないけど、全然違いますからね。

殺人に対して禁忌のない壊れた男(サイコキラー)が、なんら周囲を警戒することもなく公園をエクササイズよろしくジョギングしたりはしないからね、普通は。

ましてや主人公に追い抜かれて激昂、いきなり殺そうとするとか、法治国家じゃ無理だからね。

何故って?普通に捕まるからだよ

快楽殺人者はある程度利口じゃないと犯行を繰り返せないわけで。

追い抜かれただけで殺しにかかってくる単細胞とか、そもそも社会生活を営めないですから。

そんな人間がこれまで何事もなく平和に暮らしてきて、警察にマークされることもなかったとか、どこの国の王族なんだよ、って(サイコキラーの過去は描かれてないからしらんけど)。

とかく現実味がない。

これがサイコパスならまだ許容できたものも、サイコキラーってなっちゃうとね、野外公園というシチュエーションに恐ろしくそぐわないし、突飛すぎるんですよね。

多分スピルバーグの激突!(1971)みたいな顔の見えない怖さを演出したかったんでしょうけど、そもそものお膳立てがおかしいから、怖いと言うよりひたすらだったりする。

しかもこのサイコキラー、人間GPSかよ、っていいたくなるぐらい必ず主人公の行き先に現れて。

なぜそんなことが可能なのか、もちろん説明なんてなく。

さらに驚きなのは物語中盤で、別のサイコキラーが登場すること。

サイコキラーにサイコキラーをかけ合わせるなんてまあ斬新!・・・・って、なるはずもなくてね。

この段階でシナリオがほぼ行き当たりばったりであることに気づく。

そういえば主人公の行動に恐ろしく計画性がなかったな、って。

その割にはフィルム・ノワール風のもたついたカメラワークが雰囲気だけ一人前で。

終わってみればなんのために主人公を聾唖にしたんだ?と疑問符だらけ。

ハンディキャップを逆手に取って知恵と機転で窮地を回避、みたいな場面は一切なかったが。

激突!とかヒッチャー(1986)みたいな映画を、女性主人公で撮りたいね、ってアイディアだけでストーリーを煮詰めることなく、その場その場の瞬発力で最後まで乗り切った作品。

スペイン映画好きなんですけどね、スペインもピンキリか、と思い知った一作でしたね。

制作陣がこの手の映画が好きなのは伝わってきたけど、それだけでしたね。

ねじレート 21/100

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