1970年初出 手塚治虫
だいたい先生の青年向き漫画は半分ぐらいが暗すぎてしんどい、と私は密かに思ってたりするんですが、その中でも例外的にやたらとおもしろいのが本作だったりします。
モンモウ病という謎の奇病をでっち上げてその正体にジリジリ迫っていくスリリングな展開も良いし、罹病した主人公や登場人物達が自分の犬のような顔を憎みながらもそれぞれの道を見つけようと努力するドラマも素晴らしい。
多くの人が指摘したように、確かに「白い巨塔」との共通点は多いです。
ですがこれは大学病院を舞台にする以上、避けて通れぬ設定であり、展開で、むしろ着目すべきは異形に対する蔑視とどう向き合っていくのかを赤裸々に描いた点だと私は思います。
文句なしにおもしろい。
医療マンガというジャンルを切り開いた第一人者の、もうひとつの傑作だと思います。
火の鳥・太陽編に発展する元ネタはひょっとしてここか、と思ったりなどもしましたね。