SINK

2001年初版 いがらしみきお
竹書房バンブーコミックス 全2巻

まあしかし「ぼのぼの」のいがらしみきおしか知らなかった人は腰を抜かしたことだろうなあ、と思います。

私のことなんですけれども。

まさかのこの人がホラーを?って、誰もが思ったんじゃないでしょうか。

動物たちのすっとぼけた日常をコメディタッチで描いてた人が、その日常そのものを不条理にぶっ壊していく、ってどういうことなんだ、って話であって。

なんだこれ、ってレベルで怖い。

まさかここまで薄ら寒いとは思ってなかったですね。

いったいどこにこんな引き出し隠し持ってたんだ、って。

正直、エンディングは微妙にごまかされてしまったような気もしなくはないんですが、恐怖をマンガで表現することにおいて、いがらし流とでもいうべき独特な描写が見受けられた事が私にとっては収穫でしたね。

視界の外側から異物がにじり寄ってくる恐ろしさをコマ割りの連続性によって表現する特異さ、とでも言いましょうか。

ぼのぼので作者がよくやってることなんですが、それをホラーに転用するとここまで怖いのか、と感心しました。

要するにカメラワークが巧みなんですね。

読者をじっくりと一点に集中させる見せ方をする。

展開がわからない内は背筋が怖気立つ事、数回。 

得体の知れない薄気味悪さを見事に形にしていた、と思います。

4コマ漫画家からここまでの作品をものにした漫画家って、この人と業田良家ぐらいのもんじゃないでしょうか。

突然変異的に世に躍り出た怪作。

ホラーファンは必読でしょう。

コメント

  1. […] 最後に失速してしまった、と感じる人もいるかもしれませんが、こういう事のできる漫画家は他に居ないと思うんで、SINK以降のファンなら納得かと。 […]

タイトルとURLをコピーしました