東京怪奇酒

2020年初出 清野とおる
KADOKAWA

怪異に出くわしたと聞いた場所で、あえて酒盛りを開いてみる、という罰当たりな企画を漫画化したエッセイコミック。

バカだなあ・・と思いつつも、やってることは嫌いじゃないです。

というか、在りし日のアンチクライストなパンクスのようで、むしろ好きかもしれない。

「新耳袋殴り込み」とか、ワクワクしながら読んだ人は琴線に触れるものがあるんじゃないですかね。

私のことなんですけどね。

いったいどのような不可解な出来事に遭遇するんだろう・・・と期待で胸いっぱいだったんですけど、まあその、結論から言うならたいしたことは何も起こってないです。

なんだか微妙にスカされたというか、思ってたのと違うというか。

やはりですね、最大の難点は、作者一人で現場に赴き、ひとり酒を嗜んで良し、としてる点でしょうね。

客観視する視点がないんですよ。

すべてを酔っぱらいの錯覚だと切り捨てることはもちろん可能ですし、また逆に、本人が酔っぱって気づいてないだけでとんでもないことが起きてた可能性もある。

なんとも判断しようがないんですよね。

作者本人の恐怖に同調しにくいんです。

なんでこれを数人のパーティでやらなかったのか、と思いますね。

何人かで酒盛りやってる回もあるんですけどね、作者以外の視点に重きが置かれてないんで、結局くすぶったままでして。

一番楽しんでるのは作者本人、という気がしますね。

あと、清野とおるが面白いと思うこと、そそられると感じることに私は一切興味が持てない、というのもありまして。

画力のつたなさも相まって、読後感はホラーというよりも変な人のカルトな漫画を読んだような気分に。

うーん、企画はいい、と思うんですけどね、検証のプロセスが自分本位なのと、作風そのものが好きじゃないことが私にとってはネックでしたね。

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