スーパーティーチャー 熱血格闘

中国/香港 2018
監督 カム・カーワイ
脚本 チェン・タイリ

スーパーティーチャー 熱血格闘

ローグ・ワン(2016)では本格的なハリウッド進出も果たし、イップマンシリーズにおいては香港カンフー映画の新たなる金字塔を打ち立てたと言っても過言ではない、中華圏当代随一のアクションスター、ドニー・イェンの新作がこれだ!って、言われてですね、待ってました!これだよ、これ!と大喜びするファンが一体何人居るのか、あたしゃ本当に出口調査でもやりたい気分だったりする。

どこでやるんだ出口調査。

しかし、熱血教師・・・って。

でもってスーパーティーチャーなわけでしょ?

タイトル見ただけで冷笑する人は確実に何%か存在するよ?

ドニー・イェンを知らない人が、予備知識無しでこの映画を見ようという気になりますか?と。

今どき、漫画でもこんなタイトル、編集部から「ふざけてんのか!」とお叱りくらいますよ。

お願いだから出る映画を選んでくださいとあれほど言ったのに、全然伝わってないね、ドニー。

伝わるわきゃないんだけどね。

少なくとも日本においては、熱血教師なんてワードはもはや過去の遺物でしかないわけですよ。

金八でもGTOでもなんでもいいけど、生徒の家庭問題にまで教師が立ち入るなんて現在ではありえないし、そんな余力や時間が教師という職業にあるはずもなく。

今教師に求められてるのは、コンプライアンス遵守といかに生徒やその家庭と当たり障りなく接するかの営業職的テクニックであって。

熱血なんて持ち出そうものなら、あちこちから叩かれまくって失職することは必須。

つまり、シンプルに時代遅れだし、完全に他所の国の話なんですよね、題材そのものが。

なんだか昔の国産テレビドラマでも見てる気分になることは間違いなし。

それにしても、香港、ほんとに今も学校教育の現場ってこんな感じなの?とちょっと疑いたくなってきますね。

米軍元海兵隊隊員が教師として赴任(ドニー・イェンのことですけどね)というのはハッタリきかせた脚色かと思うんですが、なんだか色んなことがルーズで、いい加減でね、まるで70年代を地でいくかのようなんですよ。

香港映画にそういう意味でのリアリズムを求めるほうが間違ってるのかもしれないけど。

まあ、ベタですね。

内容に関してはそれ以上、なにも書くことがないくらいベタ。

吉本新喜劇レベルの安い感動路線で、なんら説得力もなし。

唯一の見せ場は2度ほどあるドニーのアクションシーンなんですけど、これもまあ、あえてこの映画で見なければならないほどのものではなく。

わざわざ日本から旧知の谷垣健治呼び寄せてますんで安定してますけど、そりゃドニーのチームならこれぐらいはやるだろう、と思える水準。

なんだろうなあ、ドニーほどのランクのスターであってさえ、こういう映画にひょいと参加しちゃうのが香港映画界のスタンダードなんですかね。

熱心なドニーファン向けの一作。

とてもじゃないけど広くはおすすめできないですね。

見終わってグッタリしてしまいました。

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