アメリカ 2020
監督 キャシー・ヤン
脚本 クリスティーナ・ホドソン
ジョーカー(2019)みたいなとんでもない作品をようやく形にしたかと思いきや、ちょいと気を許すとこの体たらくなんだから本当にDCは安定しないというか、危なっかしいというか。
もうねー、キャラクターを立てることすらできないのならスピンオフなんてやめなさいと。
この作品がやるべきことってたったひとつで、いかにしてハーレイ・クインを魅力的かつエロかっこいい(死語)存在として、前作以上に観客を虜とせしめるか、ほんとそれだけだと思うんですよ。
ぶっちゃけ緻密な作劇とか、整合性とか、前後の脈絡とかどうでもいい。
ハーレイ・クインが男顔負けの大活躍をしてさえくれればね、スーサイド・スクワッド(2016)で彼女のファンになった人たちは大喝采を送ったはずなんです。
ジョーカーにふられて後ろ盾をなくし、落ちぶれたハーレイ・クインの逃走劇とか、成り行きで少女と同行せざるを得なくなる、お困りなご様子のハーレイ・クインとか、ほんとどうでもいい。
なんでわざわざ人気が出たキャラの株を落とすようなことばかりするかな、と。
そもそもがよくわかんない人物なのに、中途半端なドラマを盛り込もうとしてどうする気なんだ、という話だ。
それこそ土台なしに上モノを建築するようなもの。
挙句の果てには登場人物をかき集めて女子連合結成ですよ。
男子になんか負けてられないわ!ってか。
どこの学芸会だ。
監督はなぜハーレイ・クインの人気が沸騰したか、全然わかってないですね。
おそらく、女性監督目線ならではのお茶目でキュートなハーレイ・クインを等身大で演出したかったんでしょうけど、それってもう、そう考えた時点で別人物ですからね。
どうしても一人の女性としての彼女を描きたかったのなら、コメディ色は排除すべきだったし、その出自や過去を丁寧に描写すべきだった。
全方位に色目を使いすぎなんですよね。
エンタメならエンタメに徹する、シリアスなドラマにしたいならご機嫌伺いなおふざけでお茶を濁さない、たったそれだけのこと。
メリハリのないどっちつかずな作品、というのが私の総評。
なんだか80年代のライトな少女漫画読んでるような気分になりました。
あと、もう少しマーゴット・ロビーをきれいに撮ってあげなさいよ、と私は思いましたね。
ふとした瞬間にね、ハーレイ・クインが素のマーゴット・ロビーに見えたりするんですよね。
こういう映画で30歳の女優の素顔が透けて見える、って致命的だと思うんですよ。
なんで首筋のシワとか修正するなり、写り込まないようにするなり、工夫できないんだ、と。
生活感匂わせたらアウトでしょうが、って。
ま、コロナ禍の最中、2億ドルを売り上げた作品ですんで、私みたいな感想抱いてる人は殆ど居ないんでしょうけど。
個人的にはリメイクして大コケしたゴーストバスターズ(2016)と同じ匂いしか感じない一作ですね。