ポルトガル/フランス/ブラジル 2018
監督、脚本 ガブリエル・アブランテス、ダニエル・シュミット
なんとも奇天烈な映画としか言いようがないですね。
主人公はポルトガルの有名なサッカー選手なんですけど。
自らをトランス状態におくことによって、天才ストライカーの名をほしいままにしてたんですが、ある日突然トランスできなくなってしまい引退。
そしたら政府の極秘機関が「主人公のクローンを作って、チームを作ればポルトガルは常勝軍団になる」と引退した彼を拉致。
そこに脱税疑惑を潜入捜査する女捜査官や、強欲で主人公を金ヅルとしか考えてない双子の姉なんかが絡んできて、気がついたら主人公の胸が女性並みに豊かに。
なぜか?
クローンを作るための実験の過程に、主人公の体が女性化する副作用があったからなんですね。
なんだそれ。
この記事を今読んでるみなさんがおっしゃりたいこと、ええ、私は充分にわかりますとも。
わけがわからん、って。
そりゃね、見てる私がわかんなかったんだから、文章で説明なんかできるはずがない。
コメディなのは確かです。
けど、観客に向けて投げられた球があさっての方向に悪送球すぎて、グラブを構える気にすらなれない、というか。
どうやら監督はポルトガルの抱える社会問題なんかも忍ばせつつ、最後はラブロマンスで締めくくりたかったみたいなんですけどね、それ以前に自分たちの面白がってることが他者にとっても愉快だとは限らない、と気づくべきであって。
突飛であること、デタラメであることが、すなわち笑いにつながるかというと決してそうではないわけで。
簡単に言ってしまうなら悪ふざけの方向性がとんちんかんなんですよね。
これを関西圏ではスベってる、という。
ものすごく親切に読み解くならですよ、主人公の女性化は、同性愛者であるヒロインとの愛を成就するための布石だった、と考えることもできますが、ま、スマートなやり方じゃないですよね。
大きなテーマとして「愚者の純朴」がキーワードになってる風ではありますが、これも明喩や暗喩が不在なんで、物語全体にまるで機能してません。
カンヌでは高評価だったらしいんですが、正気か?と思いますね。
カンヌはお笑い童貞なのか?って。
なにかと拙い、というのが正しい評価ではないでしょうか。
キャラクター作りは悪くない、と思ったんで、ともかくシナリオライティングの勉強を。
これはもう文化の違いとかじゃなくて、無理筋なんで、心機一転出直しを。