2005年初出 幸村誠
講談社アフタヌーンKC 1~7巻(以降続刊)
11世紀初頭の北ヨーロッパにおけるヴァイキングと、失くした父の復讐に生きるひとりの少年を描いた戦国歴史ドラマ。
しかしまあ、11世紀の海賊ものでよくぞここまで読者の感情を揺さぶるストーリーを構築できたものだな、と。
そこは素直に感心しますね。
だって、知らないですもん、11世紀の北ヨーロッパとか。
私が浅学なだけなのかもしれませんが、そもそも興味がないですし。
シンパシーを得にくい、ってのはどうしたってある。
今、ヴァイキングブームがきてる、と踏んで連載をスタートしたわけでもないでしょうし。
間違いなくヨーロッパ史に詳しい読者はあまりいないと思われる状態で、見切り発車したわけですから。
それがここまで大ヒットするんだもんなあ。
作者が「描きたい」と思う衝動だけで大勢の人を振り向かせたのだから、その力量たるや尋常じゃないと言えるでしょう。
プラネテス(1999~)のヒットですでに実力は折紙付きなわけですが、SF以外のジャンルにおいてさえここまでやるとは思いませんでしたね。
普通に面白いです。
これをつまらない、という人はなかなかいないんじゃないかと思う。
ただですね、個人的には幸村誠にSFを描いて欲しかったんですよね、私は。
SFって、こんなにすごいジャンルだったのか、と不案内な人たちを仰天せしめる大作を作者ならいつか必ずやれるはず、と私は信じてた。
面白いですよ、面白いんですけどね、これじゃないんだ。
この手の史劇に特性を発揮する人は何人かいても、プラネテスのような漫画を描ける人はとても少ないんです。
偏向した趣味を持つ一読者のわがままであることは承知の上で書きますが、次こそはどうかSFを。
しばしの間、見守りたい、そんな感じですかね。
しかしこれ、どこまでが史実なんでしょうね。
もし大部分が創作ならお見事と言う他ありません。