2016年初版 洋介犬
泰文堂アース・スターコミックス 1巻(以降続刊)
ある日突然、周りの人間が全員おかしくなってることに気づいた女子中学生ミサキの恐怖な日常を描いたホラー。
この作品の最大の難点は、非現実を立脚せしめる現実の足場が組まれてないことに尽きるでしょうね。
客観的視点が存在しないんです。
1対全部などという構造にしちゃったものだから、数の論理でいけばおかしいのは主人公であるミサキ、という逆説も成り立つ。
むしろミサキの妄想なんじゃねえの、と普通なら思う。
いや、妄想じゃなくてこれは現実なんだ、と読者に納得させるには、ミサキがまともであることを証明できるなんらかの装置が必要となる。
それを確たる根拠もなしに「まとも」と「異常」の線引きをされてもですね、安易な蔑視や差別の温床としか解することが出来ないわけですよ。
そもそもこんな状況に置かれたら発狂ものだろうと。
それを少年漫画のヒロインよろしく「異常を廃して世界をまともに戻す」って、どんだけ鉄のメンタルなJCなんだよ、って話で。
狂言回し風に悪魔を登場させてるのも意味がわからない。
なぜ悪魔にミサキの不安を煽らせないんだ、と。
なんとなく居候って、藤子漫画かよって。
本当にあった怖い話とか、あの手の実録怪談にちょいと色をつけただけ、って感じですね。
私はちょっとついていけないですね。