アメリカ 2019
監督、脚本 クリストファー・ランドン
ハッピー・デス・デイ(2017)の続編。
うーん、あの終わり方で続編、って相当難しいんじゃないかなあ、結局同じことをまた繰り返すだけになるんじゃないかなあ、と案じてたりもしたんですが、結果的に予想は概ね的中するも、面白さはさらに度合いを増すというミラクルを見せつけてきやがりました、監督は。
私が驚かされたのは、タイムループの謎をきちんと解き明かそうとしていたこと。
こういうのってね、わりとないがしろにされがちだと思うんですよ。
1で拾いこぼした部分を2できっちり補完するなんてめったに無い。
まさか、真相を取り繕うのに量子力学を便法として使うとは思いませんでしたね。
ミッション:8ミニッツ(2011)かよ!って話だ。
もちろん過分に疑似科学的で、ハッタリ半分ってな感じなんですけど、これで物語のあらましはうやむやにされること無く筋道が通る。
なにが大事かって、それなりに「もっともらしさ」を構築することであって。
監督はSFがわかってる、と確信。
さらにすごかったのは、タイムループを是正することだけでストーリーを閉じず、多元宇宙にまでステージを飛躍、最終的にはミステリ/スリラーを逸脱して家族のドラマを着地点としてみせたこと。
いやもうね、嘘つけっ!って言われるかもしれませんけど、目頭直撃ですよ。
これはSFでしか描けない選択と別離の物語だ、と感服。
また台詞回しがやたらと上手なんですよね、クリストファー・ランドン。
調べてみたら脚本家あがりとのこと、なるほど達者なはずだ。
さらには、笑いを忍ばせることにも余念がなく、最後には騒動をスリルたっぷりに盛り上げてみせたのもお見事だった。
前作のラストシーンから時間をおかず、ついさっきの出来事のように映画が始まった時は、なんと大胆な・・・と思ったんですが、これも練りに練ったシナリオの自信の現れだったか。
既視感を回避することに工夫をこらした1にも感心しましたが、2はそれすらも超えてきましたね。
なんだかわかりづらい、という人も中にはいるかもしれませんが、それでもあえてタイムループものの秀作と私は言いたい。
思わぬ拾い物でした、おすすめですね。