アメリカ 2017
監督 クリストファー・ランドン
脚本 スコット・ロブデル
自分の誕生日に、正体不明な殺人者に襲われる女子大生を描いたタイムループもの。
ま、よくあるネタと言ってしまえばそれまで。
作中でも言及されてますが、さしずめ恋はデジャ・ブ(1993)のスリラー版、といったところでしょうか。
タイムループからなんとかして抜け出さないと、一日の終りには殺されてしまう日々が永遠に続いてしまう、というのがストーリーの骨子。
おおむね予想どおりのシナリオ展開で物語は進んでいきます。
主人公、なんとかして繰り返される毎日から抜け出そうと、あの手この手を講じるんですけど、もちろん簡単にはうまくいかない。
自堕落ででたらめな生き方をしてきた自分を改めてみたりもするんですが、なかなか現象の法則性を解することができない。
このあたりは鉄板のパターンとも言えるでしょう。
で、監督が上手だったのは、そんな定番の悪戦苦闘を、時にはコメディ風に、時には感動的に演出してみせたことでしょうね。
既視感たっぷりなのはもうどうしようもないから、日常の小さなドラマとヒロインのキャラクター性でなんとか最後まで持たせよう、と考えたのは大正解でしたね。
わかっちゃいるんだけど、飽きない。
特に父親との対面シーンなんて、スリラーとは思えぬ細やかな感情の揺れ動きが描写されていて感心しましたね。
最後の最後でミステリ風のどんでん返しが待ち受けているのも秀逸。
ちょっと詰めが甘いかなあ、なんて思っていたら、いきなり真犯人登場で驚かされました。
そのための伏線もきっちり用意されていたことに、あとから気づいて唸らされましたね。
ルーズさを極力排除しようとしてるのが伝わってきます。
なぜタイムループを抜け出すために殺人犯を特定する必要があるのか?及び、そもそもタイムループはどうしてヒロインの身に生じているのか等、解明されていない点もあるんですが、ここまでやってくれたら許せますね。
続編で明らかになるのかもしれませんし。
ヒロインを演じたジェシカ・ロースの硬軟自在で表情豊かな演技も良。
なんとなく、ウェス・クレイブンのスクリーム(1996)を思い出したりもしました。
スマッシュヒットも納得ですね。
派手な血飛沫とかグロいカットとかほぼないんで、広い層が楽しめる一作と言えるんじゃないでしょうか。
マンネリズムをあの手この手の工夫でひっくり返した良作だと思います。
おすすめですね。