エクゾスカル零

2010年初出 山口貴由
秋田書店チャンピオンコミックスRED 1~2巻(全8巻)

覚悟のススメ(1994~)の続編。

すでに文明が崩壊し、ほとんどの人類が死に絶えてしまったと思われる未来の地球を舞台に、永い眠りから覚醒した主人公、葉隠覚悟の活躍を描くヒロイックSF巨編。

戦うべき牙を持たぬ人のために存在する正義の執行者は、守るべき人が居ない状態でいかにその正義を完遂するのか、というのが本作のテーマ。

シグルイでも書いたんですが、覚悟のススメはまるで好きではないし、評価もしていないんですけど、それでも本作、すごいところに駒を進めたな、と思いましたね。

いうなれば崩壊したゴッサムシティでその超人性ゆえひとり残されたバットマンがそこからどう行動するのか、を描こうとしているようなもの。

いや、そんな設定のシリーズはバットマンにはありませんけどね。

たとえクリストファー・ノーランだってそんな無茶振りには応じませんよ。

というか普通は無理だろ、そんなシナリオ!と考えると思う。

過分に哲学的ですらある。

はたして物語が成立するのか?とも思う。

シグルイを執筆したことは作者にとって見事に肥やしになったな、と思いましたね。

この設定で連載しようとする意気込みだけで評価してもいい。

実際、1巻は非常に興味深かった。

どうストーリーが転ぶのか、全く予測できなかったんですよね。

しかしそれも残念ながら2巻を読み進めるにいたって徐々に意気消沈。

一億総玉砕な時代の、軍隊的な精神性を道具立てとしてセリフやデザインにおりこむのはやっぱり個人的に抵抗感がある。

強化外骨格に生七とか印字されてるんだもんなあ。

格闘シーンで、男二人がヌードになってチキンウイングフェースロックをかけている絵とかいちいち挿入されるのも意味がわからない。

ま、昔からそうなんですけど。

誰に対するサービスなんだ。

決定的だったのは2巻終盤で登場した六花の存在。

ああ、この人は相変わらず女が描けない、と思った。

それまでの寂寥感漂う硬派路線ぶちこわし。

しかも意味なくパンツを見せまくってる、ってのはいったいどういうことで、何をどうしたいのだ、と真剣に思い悩んだ。

誰もやっていないことをしようとしながら、パンチラで人気とりに走るのか?と本当にわけがわからなくなりましたね。

最高に興味を引かれる題材ながら、その料理の仕方が理解不能。

南條範夫に啓発されながらも、結局本質は変わらずか。

SFはやめたほうがいいのかもしれない、とちらりと思ったりもしました。

うーん、ついていけない。

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