クロール-凶暴領域-

クロール-凶暴領域-
アメリカ 2019
監督 アレクサンドル・アジャ
脚本 マイケル・ラスムッセン、ショーン・ラスムッセン

クロール-凶暴領域-

巨大ハリケーンに見舞われたフロリダで、洪水とともにやってきたワニと格闘する羽目になる父娘を描いたサバイバルスリラー。

いわゆる「ジャンル映画」だと思って見てほぼ間違いないです。

危ない方へ、危ない方へとずんずん突き進んでいく娘といい、台風の最中に所在不明になる父といい、お前らわざとやってるだろ!と序盤からつっこみたくなる人はきっと大量にいたはず。

なんでワニが洪水と一緒に流されてくるんだよ!ってのもつっこみたくなるポイントかもしれない。

フロリダの環境に詳しくないんで断言はできないですけど、住宅地の近くに普通にワニがいるって、どんな土地柄なんだよ!って。

一応作中では近所にワニ園があった、みたいな描写が盛り込まれてますけど、それで「納得した!」とはなかなかならない気もしますね。

いやほら、危機管理ってものがあるじゃない、どこの街にだって。

洪水でらくらくワニ脱走、って緩すぎるだろう、と。

最近似たようなタイプの映画でTHE POOL(2018)ってのがありましたが、こういう時、亜熱帯は有利だなあ、と思ったりしました。

タイ、ってだけで普通にワニが居そうな気がしますもんね。

ま、先入観なんですけどね。

ちなみにTHE POOLより、この作品が優れてたのはシチュエーション作り及びドラマ作りのうまさでしょうね。

序盤の強引さを飲み込んでしまえるなら、出来そのものはそんなに悪くない。

「冠水した地下室」でワニから逃げ惑う絵って、あんまり見かけたことないように思うんですよね、私は。

地下室に留まらない進行も良い。

なんせハリケーン直撃ですから。

どんどん水位は上がってくる。

戦いの場が1F、2Fへと推移していくんです。

家一軒まるごとがワニぎっしりのテーマーパークと化してるんですな。

これはありそうでなかったアイディアだと思いますね。

水さえあれば奴らはどこへでも高速でやってきますから。

自宅に居ながらにして危険度マックスという逆転のスリルには感心させられることしきり。

当たり前ですけど、ほんと家の中に対ワニ用の武器ってなにもないなあ、と改めて思い知らされたり。

そんな非常時に、父娘の過去の確執を持ち込んでくるシナリオ展開もいい。

お互いを信じ合い、チームワークで危地を乗り越えるしかないんですけど、小さな葛藤なんかもあって、娘は素直になれなかったりするんです。

親子の再生の物語でもあるんですね。

クライマックスは意外にもドラマチックです。

親父がとんでもない無茶振りを娘に強いるんですけどね、普通なら「殺す気か!」との大合唱が聞こえてきそうなものなのに、なぜかこれ、やたら胸を打つんですね。

強い信頼で結ばれていることを二人が今再確認した、と観客に伝わるからなんでしょうね。

しかし、アレクサンドル・アジャも腕を上げてきたと思いますね。

低予算ホラーの監督、というイメージがあったんですが、ルイの9番目の人生(2015)あたりから急速に安定してきた気がします。

CG全盛のご時世にわざわざスタジオにセット組んで、大量の水流し込んで撮影したというのも私は好き。

大傑作というわけではありませんが、こういう作品が娯楽映画の縁の下を支えてるように私は思いますね。

見終わって満足の一本じゃないでしょうか。

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