アーサー・ピューティーは夜の魔女

2009年初出 木々津克幸
メディアファクトリーMFコミックス 1巻(以降続刊)

闇に潜みながら人間を糧としてきた魔物、異形どもが、パンデミックの影響で人類から逆に狩られていく世界を描いた異色作。

いかに超絶な魔力や超常能力をもっていようと、数で迫る人間に対抗できず、伝説の魔物や妖怪が住処を追われ逃げまどう描写は新鮮だったと思いますね。

それぞれの立場を置換したアイディアが基幹となる作品ですが、酒浸りになる巨神のエピソードなど、そこから派生して生まれてくる物語がおもしろい。

さすがは木々津克久、ですね。

見えざるものに対する畏怖や信仰心を失った人類はどこへ向かうのか、そして魔物はただ消えていくのみなのか、土着信仰を駆逐したキリスト教の伝播にも似た世界観の構図から目を離せない感じです。

残念なのは1巻が発売されて早や10年が経過しようというのに2巻が発売されてないこと。

不定期連載とはいえ、作者本人がもう忘れちゃってるんじゃないか、と不安です。

第六話でヘレンESP(2007~)の主人公、ヘレンがスターシステムよろしく突然登場し、かなり重要な役割を担うんで、それもこのあとどうするつもりなのか非常に気になるんですが、うーん、このまま終わってしまうのか。

単なるホラーファンタジーの枠組みを超えて、すごいところに着地しそうなんですが・・・。

再開を祈るばかりですね。

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