魔界探偵ゴーゴリIII 蘇りし者たちと最後の戦い

魔界探偵ゴーゴリIII 蘇りし者たちと最後の戦い

ロシア 2018
監督 イゴール・バラノフ
脚本 ティーホン・コルネフ、アレクセイ・チュポフ、ナタリア・メルクロワ、アレクセイ・カラウロフ

ロシアの文豪、ニコライ・ゴーゴリを主役に据えたダークファンタジー三部作の最終作。

やっと黒騎士の正体が明らかになるのかあ、あーなんだかんだ言ってやっぱり長かったなあ、などと思いつつも、今作に至るまでに私は「真犯人、あの人物しか居ないのではないか」という確信にも近い予測を立てておりまして。

それが的中するかどうかが最終的な評価に影響を及ぼす、と考えたりもしてた。

で、当たったのか?ってことなんですが、これ、ややこしい言い方なんですけど、私の想像の外側を通過して正解でした。

全く違うプロセスをたどって、結果同じ着地点に至った、とでもいうか。

こういうのを「まぐれ当たり」「偶然」とも呼ぶわけです。

もしくは、見事欺かれてる、ともいう。

正直、ここまで綿密に黒騎士の背景を作り込んでくるとは思わなかったですね。

黒騎士を打ち破ってよかったよかった、で終わるのではなく、黒騎士の存在を産んだ過去の出来事がさらにまた別のドラマを生んでいて、現在にリンクする形でエンディングを、違う位相へと誘導してる。

単なる「化け物退治」に終わらないんです。

つまりは、犯人を当てたことが物語の底を浚えたことにはならない、ということ。

そこからが真の見せ場ですよ、みたいな。

やるじゃないか、と。

第一作のラストでちらっと姿を見せたあの人にしたってそう。

突然おいしいところを全部かっさらう感じで再登場するんですけどね、なにしてたんだよ!今まで!との問いに、気取り屋の馬鹿なのかこいつは?というような答えを返して心底私をうんざりさせるんですけど、これも後々、額面通り受け取ってはいけなかったことが判明。

そういう風に変化球を投げてくるのか、と。

おいおいやるじゃないか、と(二度目)。

侮ってた部分があったな、と素直に思いましたね。

シナリオ、相当練られてます。

三部作の最終作にふさわしいだけの、二段構え、三段構えなオチが用意されてる。

そこは評価されて然るべき。

惜しむらくは、すべての謎が解き明かされてないことと、割とぞんざいな扱いでフェードアウトしちゃったキャラクターがいたのが手詰まりに感じたこと。

前者に関してはゴーゴリの正体に尽きる、と言っていいでしょう。

だからお前はいったい何者なんだ?と。

最後まで煮え切らない上に、「闇の住人」がどういう意味だったのかもわからないときては、どうにも歯切れが悪い。

これは続編への含みをもたせる意味であえてそうしてるのかもしれませんけどね。

三部作と言いながら、あわよくば続きを・・と助平根性たっぷりのラストでしたしね。

後者に関しては、水の精があまりにも哀れで。

あと、もうひとり、この人は生かしておかなきゃだめだろ、って人も憤死しててびっくり。

よく練られてるんですよ、練られてるんですけどね、なんか奥歯に物が挟まってるような気がするというか。

フィナーレがドラマチックながらも、どこかくすぶったものが残る仕上がりになってるのも疑問。

ゴーゴリが事件後、文筆業で身を立てるのに、大団円じゃあ執筆の動機にならんだろ、ってことなのかもしれませんが、三作頑張って見た人へのご褒美に最後はカタルシスを味あわせてほしかった、というのは本音だったりします。

近年のロシア映画の中では欧米にもひけをとらぬ出来だとは思いますが、きっちり終わらせる踏ん切りは必要だったように思いますね。

余談だが、半年後にⅣとかでたら怒るからな。

うーん、どう総評したらいいものか。

ま、過剰な期待を抱かなければ楽しめるんじゃないでしょうか。

三作追い続けた労力は結局報われたのか、納得できるか否かはその人次第といったところでしょうか。

質の高いシリーズだった、とは思うんですけどね。

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