ロシア 2017
監督 イゴール・バラノフ
脚本 ティーホン・コルネフ、アレクセイ・チュポフ、ナタリア・メルクロワ、アレクセイ・カラウロフ
ロシアの文豪、ニコライ・ゴーゴリを主役に据えたダークファンタジー三部作の第一作目。
ロシア本国では大ヒットを記録したらしいんですが、日本公開まで3年塩漬けされてるんで、ヒット云々はあんまり鵜呑みにしないほうがいいのかもしれません。
WOWOWで放映されたっきり長らくメディア化されなかった、というのもきな臭い。
邦題も思いっ切り、ハ○ポ○に続け!できれば便乗!って感じですしね。
あんまりハードル上げ過ぎちゃあいかんのだろうな、と思って見たんですけど、これが意外や意外、そんなに悪くはなくて。
文豪ゴーゴリを霊視探偵に仕立て上げる、という荒業が文芸ファンからしたら噴飯ものかもしれませんが、まあ、過去にはリンカーン/秘密の書(2012)なんて映画もあったことですし。
そういえばこの映画もロシア人監督だったな。
好きなのか、ロシア人は、この手のギャップ萌えみたいなトンデモ映画が。
まあ、ヴァンパイアハンター兼大統領よりは、まだ許容できる設定かと思います。
なんせ19世紀、ロシアの片田舎の村での事件が題材ですしね。
不勉強ゆえ、知ってることが少なすぎて、ついついこういうものなのかな?と納得してしまいそうになる自分が居たり。
ゴーゴリの空想的で怪奇派な作風を得意とする側面から想像を膨らませるなら、売れない時代を創作ででっちあげるのもありかも、と思ったりはします。
オカルトとサスペンスを上手に融合してる気はしますね。
よくある手口と言ったらそれまでですが、セオリーから一歩も踏み外さない堅実さがロシア映画にありがちなゆるさ、冗長さを回避してる。
VFXの完成度の高さも相まって、ハリウッド映画にも見劣りしない出来栄えだったことは確か。
あとはどうカタルシスを構築していくか、でしょうね。
今の所ゴーゴリ、霊視ができるだけで他にはなんの特技もありません。
敵に襲われてもなすすべなし。
そのあたりを補完するはずだった相棒は早々とフェードアウトしちゃってますし。
内気な文学青年の怪異譚で終わっちゃうとなかなか共感は得にくいでしょうしね。
2作目以降の展開に期待、ですかね。
今のところはほぼ顔見世状態。
監督は実力派だと思うんで、最後まで期待を裏切られないことを祈りつつ。
ロシアらしさが更に顕著になれば、2017年度の大きな収穫と評することもやぶさかではありません。
原作がないみたいですが、その割には緻密なシナリオなのも好感触でした。