ヒナまつり

2009年初出 大武政夫
エンターブレインビームコミックス 1巻(以下続刊)

若手ヤクザと超能力少女のドタバタを描いたSF風のコメディ。

さて、超能力少女ですが、一応便宜的に「少女」と書きましたが、これ、ほんとに少女なのか、それとも似た形態の異なる生物なのか、1巻の段階ではまだわかりません。

なんせ突然、空間転移してくるんですよね、ヤクザの自宅に。

日本の慣習や社会に不慣れな様子もあり、そこから安っぽい想像を働かせるなら、宇宙人とか未来の地球から来たとか、そんな感じっぽい。

放り出すわけにもいかず、なんとなく面倒見てるうちに少女が破壊的なサイコキネシスの使い手であることをヤクザは知るんですが、うまく利用できる面と、とんでもなく迷惑な面が相半ばしてる設定が面白い。

敵対する組を少女の能力で壊滅させたかと思えば、自分のところの組長が入院してる病室をはずみでふっとばしたりするんですね。

暴力を生業とする男があどけない少女に振り回されまくるという逆転の構図は、ギャグ漫画のわかりやすい様式ながら、思ってた以上にマンネリ感がないのに私は感心しましたね。

笑いのセンスがいい。

突飛なシチュエーション作りや、キャラクターの立て方も上手。

ハルタ連載作品だとは思えません。

一時期のサンデーとか、小学館系列の漫画雑誌に掲載されてそうな。

そりゃ人気も出るだろうし、アニメ化もされるわ、と納得。

唯一の懸念材料が、暴対法施行で青息吐息な現在の暴力団らしくない暴力団の描き方なんですけど、まあこれは昭和のお話です、とでも後付けで注釈入れときゃいいか。

世代を問わず広い層が楽しめる作品だと思いますね。

私個人はもう少し毒があったほうが好きなんで、熱心なファンになるほどではないんですけど、こういう漫画こそが売れない雑誌をけん引すると思うんで、是非長く続けてほしいですね。

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