死霊館

アメリカ 2013
監督 ジェームス・ワン
脚本 チャド・ヘイズ、ケイリー・W・ヘイズ

死霊館

オープニング早々、クソ不細工な少女人形が呪われてるだの、捨てても帰ってくるだの、ひと悶着あったので、てっきり生き人形の話かと思ったら、違った。

その後も少女人形アナベルは後半でしれっと物語に噛んできたりするんで、なにかその存在に意味をもたせたかったのかなあ、と考え込んだりもしたんですがよくわかりません。

後にスピンオフみたいな形でアナベルの映画が作られてるんで、ある種の番宣?と思ったりもしたんですが、それも死霊館の興行的成功ありきの話だから正解とも言い難いでしょうし。

なんなんだろ、とりあえず私は映画の本筋よりアナベルの方が怖かったですね。

ストーリー自体は王道中の王道といっていいホーンテッドハウスもの。

これまで作られたあまたの作品と比較して、なにか新機軸を打ち出してるとか目新しいとか一切ありません。

もうちょっと奇をてらってもいいんだよ、と言いたくなるほど真っ当にホラー。

ただ、1971年のロードアイランドが舞台で、これは実話である、と言い切ってる部分が、食傷を上手にかわしてるような気もします。

実在の人物であるウォーレン夫妻を事件請負人よろしく、主役に据えたのも巧みでしたね。

いわゆる心霊科学だとか、霊能だとかが大衆を巻き込んで真面目に議論されてた頃の渦中の人物ですしね、真贋はともかくとしてなにをどう彼らは落とし所としたのか?については興味もそそられようというもの。

ジェームズ・ワンの、怪異そのものの姿形をはっきり見せない演出も、やや古典的とはいえ好み。

やっぱりホラーは「見せない恐怖」だよなあ、なんて得心したり。

ま、なんとなくうやむやになってしまったな、と思うところもあるんですけどね。

怪異には教会の悪魔祓い、という定石をアメリカ社会はほぼ覆せませんから、結局敵は幽霊なのか、悪魔なのか、よくわからんまま主に頼る展開に落ち着いちゃうんでね、いつのまにか信仰の問題と真相がすり替わっちゃうんですよね。

そりゃ悪魔もいるかも知れない、でも化け狸もいればお狐様もいて、怨霊もいれば、吸血鬼だっているだろう、なのに対処は皆同じって、雑じゃない?と思うのは私が日本人だからでしょうかね。

というかエクソシスト(1973)のように悪魔一点絞りで展開してほしかったですね。

シスターとか殺された子供とか絡んでくるから話がややこしくなる。

「でもこれ実話だから」と言われると、ぐうの音も出ないんですけね。

作品そのものの質は高いと思います。

70年代の幽霊屋敷を、おかしな思い込みに左右されることなく現在の視線で再構成することに関しては成功してるかと。

あと何作か、続きを見てもいいかな、そんな風には思いましたね。

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