ラ・ヨローナ ~泣く女~

ラ・ヨローナ ~泣く女~

アメリカ 2019
監督 マイケル・チャベス
脚本 ミッキ・ドートリー、トビアス・イアコニス

メキシコに古くから伝わる女の怨霊、ラ・ヨローナにとりつかれた家族を描いたホラー。

水辺で自害した女が悪霊化したのがヨローナらしいんですけどね、故事来歴の成り立ちは驚くほど最近見たロシア映画、黒人魚(2018)に似てますね。

水霊ルサールカとかぶっとるじゃないか、と。

ロシアとメキシコに何らかの共通点を見出すのも難しいと思うんで、きっと偶然なんでしょうけど、要は世界各地に似たような伝承が残ってるということなんでしょう。

水辺と来れば、不幸な女が飛び込んで祟る、と。

日本にも似たような昔話があるように。

つまりは、ある種の「定型」である、ということ。

この場合、なにゆえヨローナは今になって祟るのか、それともずっと祟り続けているのか、発動条件はなんなのか等、明らかにすることが肝心かと思うんですが、そのあたりに関しては作中で全く言及されてません。

なんか妙な女がいる、と。

手首を握られたら火傷のような傷がついたよ、と。

ああ、そりゃヨローナだ、もう逃げられないぞ!って、いや、すまん、説得力が皆無だ。

もっともらしさもない。

さらには、降って湧いたような災難に追い詰められていく母子家庭一家の悲劇も「追い込み」が足りない。

女の細腕でどうやって子どもたちを守っていくのか?がこの映画最大の見どころにならなきゃならないはずなんですよ。

せっかく主人公一家の母が児相で働いてるという設定なのに、どうして自分の職場の同僚が敵に回るシナリオ作りをやらないんだ?と私は思うわけです。

序盤におけるオカンの至極常識的な行動が、実は決定的に間違っていたと自ら思い知ってこそドラマも盛り上がろうというもの。

ある人物の「妨害」という形でそれっぽい演出はありますけどね、これじゃあいささか弱い。

結果、意外性に欠ける、よくある悪霊ものに。

ただ、作品そのものの質は高いと思います。

オープニングの流麗なカメラワークとか、これから一体何が始まるんだ?!と驚かされましたしね。

デティールや役者の演技にこだわって撮ってるのもわかる。

なによりヨローナのビジュアルや表情が結構怖い。

これ、ホラーにおける重要な評価ポイントかと思うんですね。

題材は手垢だけど、品質の高さを楽しめる人ならそれなりに満足の行く一作じゃないでしょうか。

初監督作にしては安定してますね。

ジェームズ・ワンの力添えもあったのかもしれませんが。

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