日本 2017
監督 福田雄一
原作 空知英秋
少年ジャンプを読まなくなって何十年もの歳月が経過してるので、原作が累計5500万部を突破した大人気漫画であることすら知らなかった私なんですが、ま、知ったからと言って期待が大きく膨らむ、というわけでもなくて。
なんせジャンプですしね。
ティーンが熱中するのはいいと思うんです。
そういう誌風の少年誌だから。
けどいい年したオッサンがジャンプで盛り上がってたらやばいだろう、って。
きっとちょっとSF風味な勇気と冒険のファンタジーなんだろうなあ、と。
やばいなあ、早々に脱落しそうだなあ、むしろ子供向けと考えて望んだほうがいいのかなあ、でもキャストは豪華だしなあ、云々。
漫画の映画化、という安牌な企画にも不安がありましたし。
ま、邦画の場合、数字をクリアしてても大抵はクソですよね。
10本の内、せいぜい1本当たればいい方。
悲しいかな、それが原作つき映画の現実。
じゃあ、見なきゃいいじゃねえかよ!なんでお前はわざわざそんな危険物に手を出してるんだよ!って一斉につっこむ声が聞こえてきそうですが、すまん、これには事情があって。
正直に言おう、酔っ払ってたんだ。
酔っ払ってNETFLIXみてたら何度目かの「あなたにおすすめ」で銀魂があがってたんだ。
またこの映画かよ、と。
しつこいなNETFLIX!と。
でもまあ、そこまで推すんなら、今日は特に見るものもないし見てやってもいいよとポチった、というのが真相だったりする。
そしたらですよ、あなた。
・・・・やばい・・・面白い・・・。
えっ、マジか?と思った。
自分を疑ったりもした。
なんせ酔ってるし。
いや、なんかもうコントみたいだとは思うんですよ。
原作漫画由来の口調とか、ちょっと気になる点もありますし。
でも地雷原のごとくしかけられた笑いの釣瓶撃ちに爆笑がとまらない。
これが漫画由来のものなのかどうなのかはわからないんですが、ボケとツッコミにやたらとキレがあるんですよね。
見事にツボをついてくる、というか。
時事ネタや、現実とリンクするメタな素材を躊躇なくぶちこんでくる迷いのなさもいい。
メーヴェが唐突に出てきたシーンなんてはらわたちぎれるかと思った。
また、演者がお笑いだからと手を抜いてる風に見えないのにも感心。
真剣にやってるんですよ、小栗旬とか中村勘九郎がひとつひとつのギャグを。
橋本環奈なんて国民的美少女なはずなのに鼻くそほじってますからね。
役者全員がイメージをかなぐり捨てて「笑わせるためだけ」に体張ってるんです。
よくぞここまで吹っ切らせたな、監督よ、と。
作品の持つ世界観も決して悪くない。
宇宙からの侵略者により、開国を余儀なくされた江戸時代の物語なんですけどね、異星人の傀儡政府と堕した幕府といい、一部のテクノロジーが異様に進化した暮らしといい、こりゃまさにネオ時代劇であり、スチームパンクな歴史改変ものだ、と。
江戸時代という時代性に縛られないための「お膳立て」がちゃんと出来上がってるんですよね。
それでいて、派手なアクションを盛り込むことにも余念がない。
識者の高い評価や賞レースには無縁な映画だと思います。
けれど、真剣にふざけてるエンターティメントとして、私はこの作品が理屈抜きで好きですね。
悪かった、少年ジャンプ、侮ってたよ。
とりあえず原作読むよ、と思ったけど、77巻あるというのを今知ってやっぱり無理。
いやー久しぶりに邦画で大笑いしました、参った。