2017初出 本田真吾
秋田書店 チャンピオンコミックスEXTRA 上下巻(白、黒)
彩子 白、黒のタイトルで2巻同時発売だった本作ですが、ストーリーの時系列としては白が前編、黒が後編と捉えていいと思います。
LINEマンガに連載されたことも影響してるのかも知れませんが、ぶっちゃけ目新しさは皆無だった、というのが正直なところでしょうか。
それこそ80~90年代に少女ホラー誌で一過性のブームを巻き起こし、あぶくのように消えていった有象無象となんら大差ない、とでもいいますか。
スマホのアプリを呪いのツールとして道具立てしたことが唯一今風か、と思いますが、これもまあ着信アリ(2003)とか、あのあたりのJホラーと着想は同じ、と言っちゃえばそうですし。
もうね、いちいち「ああ、こう展開させていくのね」と既視感だらけのストーリー進行で。
そんなやつは居ない、のツッコミから始まって、今どきフランケンシュタインかよ、と嘆息し、現実味のないままスケールだけが肥大していく荒唐無稽な怪現象の数々に安いアメリカンホラーかよ、と集中力が萎えていく。
切子(2015)でなんとも気分の悪い嫌なホラーを形にした作者の新作にしちゃあ、どうにも手ぬるい感じですね。
かといって切子みたいなのをまたやられても辛いんですけどね。
いったん、学園ものから離れたほうがいいような気もしますね。
少年漫画の文法にのっとったキャラクター作りが恐怖そのものの質を薄っぺらにしてる気もします。
10代~20代向けのホラーと考えるなら、充分水準はクリアしてるのかもしれませんが、これでは目の肥えた大人の読者はついてこない、そんな風に思った一作でしたね。