イタリア/フランス 1953
監督 フェデリコ・フェリーニ
脚本 フェデリコ・フェリーニ、エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネッリ
戦後間もないイタリアの田舎町に暮らす5人の若者の、享楽的な日々を描いた青春ドラマ。
巨匠フェリーニの初期重要作などと言われてますが、えー、結論から言ってしまおう。
すまない、大して面白いと思えなかった。
作品で主に描かれているのは若造5人組のダメっぷりなんですけどね、これがねー、ほんとどうしようもねえな、って感じでして。
まともに働きもせず女の尻を追いかけ回すわ、宴会三昧だわで。
私みたいなバンドマンくずれのろくでなしが見てても「お前らもうちょっとちゃんとしろ!」と怒鳴りつけたくなる有様。
特にひどいのが主人公とおぼしきファウストの行状でして。
友達の妹を孕ませて仕方なしに結婚へとおいやられたのを不服に思ったのか、赤ん坊と新妻をほったらかしでナンパ行脚。
挙げ句には、頼み込んでようやく雇ってもらった店の奥様にまで色目を使い、仕事をクビになる始末。
もうね、その日その日をどう楽しく過ごすか?しか考えてないんですね。
バカが音を立てて地滑り起こしてる状態。
ま、「若い」ってのは往々にして「バカ」と同義語だったりしますから。
そういう意味では恐ろしく的確に青春の断面を切り取ってる、と言えるかもしれない。
年齢を経て「あのときは本当に愚かなことをした」を振り返ることが誰しもあることと思うんですが、それを現実的かつ写実的に捉えた、という見方もきっとできることでしょう。
でもねー、若さゆえのダメっぷりに「ああ、俺もこんな時があったわ」と、尻がムズムズする思いを抱きこそすれ「懐かしいなあ、うんうん、こんな感じ、こんな感じ!」ってうれしくなるような気分には決してならない、と思うんですよね。
できることなら青春の無軌道さに再び直面するとか御免被りたいし、そんなもの黒歴史でしかないわけですから。
我々があえて若さを振り返るのだとしたら、その後の顛末にこそ救いを設けてほしいのであって。
でね、この映画、肝心のオチがね、なんとも拍子抜けというか、そんな風に締めくくっちゃうの?って感じなんですよ。
ていうか私なんて「そんな程度のことでなんとかなるんなら放置せずにもっと早く行動せんか!」と、思わずつっこんでしまった。
フェリーニの半自叙伝内容、などと言われてたりもしますが、私が感じたのは「ここからいったいどうやって世界的名監督になったのだ?」という懐疑の念のみでしたね。
どうせならそのプロセスを描いてくれよ、と。
享楽的でデタラメなのに、まるですさんでない、というイタリア人の国民性が興味深くはありましたが、この作品を今楽しむのはなかなか難しいものがあるような気がしますね。
大昔からこういうバカな若者はいたんだなあ、というのは発見ではありましたが。